• sex
  • 2013.01.04

愛してもらいたかったら愛を注げ!『やわらかバスト』(前半)

大泉りか 官能小説 バスト やわらかバスト 内藤みか
by Nanagyei

 女にもっとも嫌われる男の属性のひとつ、マザコン。
いくら相手が母親であろうとも、女は女。愛する男の心の中に自分以外の女がどんと居座り、時には自分よりも優先されることさえあるのだから面白いわけはありません。
が、残念なことに多くの男はマザコンです。
なぜなら、母は“無償の愛”を注いでくれる対象だから。有り余る愛を与えてくれるからこそ、そのお返しにと母親を大切にするのです。

 だから、「愛してもらいたい」女性は、反対に相手に愛を注げばいいのです。
というと、「わたしだって、こんなに愛しているのに……」というかもしれません。しかし、待ってください。自分の愛と交換に相手の愛を求めるのは違います。というか、それは愛ではありません。
愛は相手に見返りを求めずに、ただ捧げるもの。与えるだけで満足しなければ、それは愛ではないのです。

どうしても期待してしまうフィードバック

 ……が、そんなことを言われても無理ですよね。わたしたちは聖母ではありません。
何かを差し出したら見返りが欲しい。デパートで買った2万円の手袋のお返しが、そこらの駅ビルの雑貨屋で買った3千円のマフラーではがっかりするし、ご飯を作ったら「美味しかった」と言われたい。フェラチオはさせられるのに、クンニはしてくれない男の愛は疑ってしまう。「いいの、好きでやっているんだから」といいつつも、実際はいつもフィードバックを期待してしまいます。

 では、母親はなぜ息子に『無償の愛』を注げるのか。
それは母親にとっては“愛を与える”こと自体が欲望だからです。
その欲望とはいったいどういうものなのか――。それを知る手ほどきとなるのが、今回、紹介する女流官能作家・内藤みかさんのやわらかバスト(悦の森文庫)です。

母性本能をドバドバ噴出するヒロイン

大泉りか 官能小説 バスト やわらかバスト 内藤みか
やわらかバスト(祥伝社文庫)/内藤みか (著)/定価:630円

 本書は8篇の短編から織りなっています。ヒロインはすべて人妻およびシングルマザー。
皆、平凡な主婦で幼い子持ち。育児中のため“母乳”が出る身体にあります。しかし、出ているのは母乳だけではありません。ホルモンのバランスか、“愛を与えたい”という母性本能もドバドバ噴出中。
幼いわが子や、夫に与えるだけでは満ちたりず、持て余したその愛を受け止める相手を求めて、携帯の出会いサイトに登録したり、テレクラに電話をしたり、夫の部下を誘惑して――。

共働きの妻が抱えるもてあました母性の行方

 二十歳で結婚するまで、私は与えるより与えられるほうが多かった。そして、男から尽くしてもらうことが、気持ちよかった。
 すごく美人なわけでもないけど、私はそれなりにモテていた。色が白くておっぱいが大きく、唇がぽってりとしているのがいい、と男達は口を揃えてそう口説いてきた。そんな彼らの目を引くために、私はいつもピンクのぴっちりとしたトップスを着ていた。桃色は膨張色だから、なお一層バストが盛り上がって見えるからだ。
(『やわらかバスト』P.175 L1~6)

 そんな男のツボを心得たカナエが結婚相手に選択したのは取引先のレストランのシェフ。
しかし、料理ができる男と結婚したほうが、なにかと便利との計算は誤算で、帰りはいつも10時過ぎ。夫婦の会話もなく、週に2~3度肌をあわせることで、互いの溝を埋めていた――。

 結婚して3年も経つというのに、週に3度も夜の生活があるだなんて、なんという贅沢モノだと、世のセックスレスの奥様、および、相手のいない独身女性は声を大にして叫びたいところですが、しかし、カナエはそのセックスの内容に不満があるのです。その不満とは……(後編に続く)。

カナエが満たされないわけは後半へ続きます。

Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

今月の特集

AMのこぼれ話