愛してもらいたかったら愛を注げ!『やわらかバスト』(前半)

官能小説から男目線の“そそる女”を読み解く!

大泉りか 官能小説 バスト やわらかバスト 内藤みか
by Nanagyei

 女にもっとも嫌われる男の属性のひとつ、マザコン。
いくら相手が母親であろうとも、女は女。愛する男の心の中に自分以外の女がどんと居座り、時には自分よりも優先されることさえあるのだから面白いわけはありません。
が、残念なことに多くの男はマザコンです。
なぜなら、母は“無償の愛”を注いでくれる対象だから。有り余る愛を与えてくれるからこそ、そのお返しにと母親を大切にするのです。

 だから、「愛してもらいたい」女性は、反対に相手に愛を注げばいいのです。
というと、「わたしだって、こんなに愛しているのに……」というかもしれません。しかし、待ってください。自分の愛と交換に相手の愛を求めるのは違います。というか、それは愛ではありません。
愛は相手に見返りを求めずに、ただ捧げるもの。与えるだけで満足しなければ、それは愛ではないのです。

どうしても期待してしまうフィードバック

 ……が、そんなことを言われても無理ですよね。わたしたちは聖母ではありません。
何かを差し出したら見返りが欲しい。デパートで買った2万円の手袋のお返しが、そこらの駅ビルの雑貨屋で買った3千円のマフラーではがっかりするし、ご飯を作ったら「美味しかった」と言われたい。フェラチオはさせられるのに、クンニはしてくれない男の愛は疑ってしまう。「いいの、好きでやっているんだから」といいつつも、実際はいつもフィードバックを期待してしまいます。

 では、母親はなぜ息子に『無償の愛』を注げるのか。
それは母親にとっては“愛を与える”こと自体が欲望だからです。
その欲望とはいったいどういうものなのか――。それを知る手ほどきとなるのが、今回、紹介する女流官能作家・内藤みかさんのやわらかバスト(悦の森文庫)です。