• love
  • 2012.08.16

男の言い分コラム・勝手にタレント名鑑 第3回: ローラはfacebookの「いいね!」ボタンである

第3回: ローラはfacebookの「いいね!」ボタンである


2012年現在の覇権争いは“ローラ>トリンドル”

Tongue By M Glasgow
©Tongue By M Glasgow

 ローラとトリンドル玲奈。

 年齢も近い2人は、ともに欧米人の血を引くエキゾチックな顔立ちを持つ正統派の美少女タレントとして、ほぼ同時期にテレビでブレイクしました。
その容姿・人気・実力は両者とも拮抗しており、昨年頃からバラエティ番組の「モデル出身タレント枠」の座は、事実上この2人が独占していたといっても過言ではありません。

 そこでにわかに浮上してきたのが、ローラとトリンドル玲奈、芸能界の同じポジションをめぐってどちらが天下を取るのかという問題、俗にいう「ローラ・トリンドル戦争」です。

 当初私は、タレントとしての総合力はトリンドル玲奈のほうが上だろうと思っていました。
ローラの「年上にもタメ口」「シンプルで適当なコメント」「舌を出す決めポーズや“オッケー”の決めフレーズ」といった特徴は、確かにわかりやすいけれどワンパターン。
使えるフィールドも限られてしまうため、飽きられるのも早いだろうと思っていたのです。

 しかし、現状はどうでしょうか。
テレビにおいて不動の立ち位置を確保したのは、明らかにローラのほうです。
トリンドルは、ソツがなく当たり障りもない代わりに、キャラ立ちを求められるバラエティ番組の中では、やや埋没してしまいました。


 ローラはなぜ、トリンドルを一歩引き離し、時代の寵児となったのか。
今回は、そんな「ローラ・トリンドル戦争」について考えてみたいと思います。

“モデル出身タレント”が男ウケしない理由

 そもそも、女性の方に知っておいてほしいのは、ファッションモデル出身のタレントは、お茶の間では“男ウケしない”という厳然たる事実です。

 森泉、マリエ、長谷川潤、道端三姉妹、加賀美セイラなどなど……女性から見れば“憧れの存在”であるはずの彼女たちが、テレビでは“なーんかプライドの高い勘違い女性”扱いされているのを見て、違和感を感じたことはないでしょうか。

 彼女たちは、自らのライフスタイルやビューティー観、恋愛観を、自信をもって嬉々として語ります。しかし、雑誌では“カリスマ”として扱われるそんな態度が、お茶の間では“上から目線”に映ってしまうことはよくあります。
要するに、自己主張が強くて、自分に自信があって迷いがない、ガツガツと自己実現にまい進するような女性は、世の大多数のヤワな男にとっては得てして“扱いづらい、困った存在”なのです。

 どんなに美人でスタイルが良くて体つきがエロくても、スキがあっておバカで“自分にもなんとかなる”と思わせてくれない女性は、男にとって愛らしくないし、かわいくもありません。
数多いるモデル出身タレントの中で、ローラとトリンドルだけが圧倒的にメジャーになれた理由は、2人がが勝ち気な自己主張をしない、男にとってかわいげのある存在”だったからに他ならないでしょう。


 残念ながら、それが今の日本の男性の民度なのです。
がっかりしましたか?

 しかし、今の時代、女性からも支持されなければ世間でブレイクはできません。
どちらかといえば男ウケ要素の高いトリンドルに対して、ローラは女性からも広く愛され人気を集めている印象があります。だからこそ、彼女は「ローラ・トリンドル戦争」を制することができたのではないでしょうか。
それでは、その勝利の秘密とはいったい何だったのでしょう

   「いい感じ♪」で世界を全肯定するローラの処世術

OK Go By eastscene
©OK Go By eastscene

 ローラのキャラクターの特徴、それは世界のありとあらゆるものへの、“ざっくりとしたあいまいな肯定”です。
彼女のコメントは、そのほぼすべてが「オッケー、いいよー」「ん~、そんな感じ」「いい感じ♪」といった“からっぽだけどポジティブ”なフレーズで占められています。
相手の言うことに理解や同意ができないときも、「ふーん、そうなんだ~」と受け流し、「ん~、わかんない!」とはぐらかすことで、否定や拒絶を極力避けていることがわかります。

 そのあきれるほどテキトーなリアクションには思わず脱力させられますが、私たちはなぜか彼女に不快感を抱くことはありません。
それは、彼女が決して否定や拒絶をしないからであり、私たちが他人とのコミュニケーションに求めているものが、究極的には「オッケー」と「いい感じ♪」の2つだけだからです。


 みなさんも思い返してみてください。
かつては相手のブログ記事に対して、トラックバックやコメント機能で自分の意見を発信したり、メールを送るときも絵文字や顔文字をいっぱい使ったりしていたと思います。
 ところが今では、おもしろい記事には“いいね!”ボタンを、スマホのメールツールで話しかけられたときにはスタンプを一発押せば、「読んだよ!」「そうだね!」という意思表示になります。そして、それ以上深入りして自分の意見を述べる必要はありません。

 求められているのは“ゆるやかな肯定”のみ。すなわち「オッケー」と「いい感じ♪」なのです。
これを、“コミュニケーションのローラ化”と、今ここで勝手に名付けたいと思います。

 だからといって、「現代人のコミュニケーションが、表層的で希薄なものに……」などとくだらない批判をするつもりはありませんよ。
逆に、私にはこの“ローラ化するコミュニケーション”が、無用な傷つけ合いやディスり合いを避けるための高度なライフハックに思えて仕方ありません。

 自己主張するより、からっぽのほうが愛される。
反論するより、聞き流したほうがカドが立たない。
拒絶するより、テキトーにあしらったほうがラク。
否定するより、肯定したほうがうまくいく。

 思えば、男性の言い分を聞き、顔を立て、ときに受け流し、ときにバカのふりをしてコミュニケーションを円滑に進めてきたのは、いつだって女性でした。

 ローラは、そんな女性特有の“生きる知恵”をとことんデフォルメしてみせることで、もはや男性だけでなく現代人すべてが抱えている“肯定されたい承認欲求”を、テキトーに笑い飛ばしているのではないでしょうか。

「みんなが求めているコミュニケーションって、こんな感じでしょ? いいよー、オッケー♪」
テレビの向こうのローラから、私にはそんな声が聞こえてくるのです。

さて、現時点ではだいぶローラに水をあけられてしまったトリンドル玲奈ですが、私は彼女の中に、木下優樹菜のような日本人に好かれる“ヤンキー的素質”が多分に眠っているのではないかとにらんでいます。
彼女が今後、その眠れるヤンキー気質を前面に打ち出したとき、「ローラ・トリンドル戦争」の勢力図は大きく塗り替えられる可能性もあると密かに思っているのですが、それはまた、別の話ということで。

Text/Fukusuke Fukuda

■合わせて読みたい

関連キーワード

ライタープロフィール

福田フクスケ
フリーライター。“くすぶり男子”の視点から恋愛やジェンダー、セックスなどを考察。

今月の特集

AMのこぼれ話