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  • 2012.09.07

男の言い分コラム・勝手にタレント名鑑 第6回:男が「芹那を好き」と素直に言えないいくつかの理由

第6回:男が「芹那を好き」と素直に言えないいくつかの理由


「芹那ってどう思う?」に男は歯切れよく答えられない

By trangvitcon
©By trangvitcon

 女性のみなさん、まずは試しにそこら辺の男をつかまえて、元SDN48の芹那についてどう思うか聞いてみてください。

「ん? 誰? ああ、芹那ね……。まあ、かわいいんじゃないの? 今はああいうのがウケるんでしょ? …ただ、さすがにあの声はわざとらしいよな。キャラ作りすぎてて、あれはちょっとないわー」

…とまあ、十中八九このような回答が返ってくると思います。

 最初の「ん? 誰? ああ、芹那ね……」は、一瞬ピンときてないフリをして、どう返すべきかシンキング・タイムを稼いでいる時間です。

 次の「まあ、かわいいんじゃないの?」でなぜか上から目線となり、「今はああいうのがウケるんでしょ?」と他人事な感じを出して、“自分はどう思っているか”という当事者性から巧妙に逃げようとしています。

 そして、一般論として誰もが引っかかるお約束ポイントの「声」にツッコミを入れ、「キャラ作りすぎ」とディスを入れることで、女性であるあなたに「俺は違うから! わかってるから!」という姑息なアピールをしているのです。

 このように、芹那に対して男はみな、痛くもない腹を探られたような、歯切れの悪い態度を取らざるを得ません。

 今回、非常にまわりくどい書き出しになってしまったのは、この連載でそろそろ芹那を取り上げようと思っていたら、カルチャー誌(リスペクトを込めてあえてテレビ雑誌ではなく)『TVBros.』の9月1日号で、「どうして男は芹那をほっとけないのか?」という特集が組まれ、かなり鋭い本質的なことを先に言われてしまったので、内容がカブらないように苦慮している……からでは、決してありません。
ありませんよ!

 この、思わず歯切れが悪く、まわりくどくなってしまうところにこそ、男が芹那を語るむずかしさと、彼女の“魔性”がすべてあらわれているといっても過言ではないでしょう。
過言ではないのです!

「付き合いたい女」と「ヤりたい女」は違うという問題

 この際、ハッキリ言ってしまいましょう。
男は芹那みたいな女性が大好物です。
でも、それを「好きだ」と言ってしまうのは、とても勇気のいる、恥ずかしいことなのです。

 それはもちろん、「あんな狙ってる女のどこがいいの?」「あれを天然だと思ってる男はバカ」という女性からのわかりきった批判がめんどくさいからでもあります。

 ただし、「大島優子が好き」なら言えるのです。でも、「芹那が好き」は言えない。
それは、そのままAKB48とSDN48の本質の違いとも言えます。

 もともと、AKB48の姉貴分として生まれたSDN48は、加入条件は20歳以上で、年齢の上限はなし。恋愛も認められており、露出の多い衣装でステージの公演内容も“大人向け”。
そもそもが、「いやらしい目」で見てOKというアイドルだったわけです。

 それは、かつてSDN48でセンターポジションを勝ち取ったこともある大堀恵が、現在ではBSジャパンの『ギルガメッシュLIGHT』というセクシー番組で「安いエロ」を振りまいていることからも明らかです(それはまさに往年の三浦理恵子のごとく)。

 そして、ここが秋元康の天才的なところだと思うのですが、AKB48のファンであることと、SDN48のファンであることは、矛盾せず、両立させることができます。

 なぜなら、男にとって「付き合って大事にしたい女」と、「エロくてヤりたい女」は別のものだからです。

 浮気や不倫、男性の草食化、離婚の増加など、男の恋愛・結婚がうまくいかない原因のほとんどは、この両者を混同したり、共存させようとした結果生まれた矛盾ではないかとすら、私はにらんでいます。

 秋元康は、そのことをわかったうえで、男の欲望を可視化させ、「ビッチな姉」と「バージンの妹」という2つのグループに分けたのではないでしょうか。

ビッチとバージンを行き来して男の性を露呈させる芹那      

By photoskate
©By hermyzzz

 そこで、芹那の問題に立ち返ってみましょう。
「付き合いたい女/ヤりたい女」理論にあてはめてみると、芹那はハッキリと後者です。

 あの、鼻にかかった舌ったらずなアニメ声は、言うまでもなく「あのときの声」のメタファー
男なら誰でも、あの声でいろんなこと(「マンモス象」とか「息抜きしよ」とか「温玉ぶっかけひとつください」とか)を言わせてみたいと想像したことがあるはずです。

 Perfumeの“エロス担当”こと(いま勝手に決めた)のっちにどことなく似た「困り顔」系の顔立ちも、そういう意味で男好きのする娼婦性があります。

 でも、芹那の顔ってよく見ると、実はかなり中性的で“美少年”っぽい感じもするんですよ。
それに、割れた腹筋の写真がネットで話題になったように、彼女の体はすごく絞られていて、いわゆる肉付きのいいエロティックな体型とも異なります。

 まあ、「二次元ロリ的」と言ってしまえばそれまでですが、いまひとつ「ヤリたい女」として扱いきれない処女性を出してくる。
そこが、『ギルガメッシュLIGHT』ではなく、ゴールデンタイムの番組に多数出ることができる芹那のタレント戦略でもあるわけです。

 しかし、そんな彼女の存在に、男は「付き合いたい女」と「ヤりたい女」の境界をあらわにされ、その垣根をグズグズにされるような居心地の悪さを感じます。

 そして、「芹那が好き」とおおっぴらに言えない理由も、おそらくそこにあるのでしょう。

 エロい目で見ている(=性の対象)くせに、なまじアイドルである(=崇拝の対象)ことを隠れ蓑にしている、往生際の悪い感じ。

 ビッチが好きなくせにバージンも求めてしまう、男のしょうもない性が露呈されていく、みっともない感じ。

 たとえるなら、「オカズとごはんは別」というか、「趣味と実益を兼ねるのはダサい」というか、「好きなことを仕事にしちゃうのって、逆にかっこわるいよね?」みたいな不文律が男にはあって。

「芹那が好きだ」と言ってしまえる男は、そのタブーを犯している気がして、“かえってなんか生々しい”印象を与えてしまうのです。

 今回、ネタかぶりを恐れるあまり、非常にわかりづらい観念の世界へと突入してしまった気がするのですが、みなさん、ついてきてくれましたか?

 私は、だいぶ沖合いに漕ぎ出してきてしまった気持ちでいっぱいです。
だいじょうぶ、ひとりで岸まで泳いで戻れますから。
泣いてなんかいません。

Text/Fukusuke Fukuda

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ライタープロフィール

福田フクスケ
フリーライター。“くすぶり男子”の視点から恋愛やジェンダー、セックスなどを考察。

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