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  • 2015.09.16

親子水入らずの仲良しファミリーの正体は「寄せ集め家族」!?『at home アットホーム』

空き巣の父と結婚詐欺師の母で生計を立てる5人家族は、それぞれ悲しい過去を背負いながら幸せを求めて暮らしていた。そんなある日、母が詐欺を相手に見破られて誘拐され、家族は身代金を要求される——竹野内豊×松雪泰子主演のアットホームなサスペンスドラマ

 竹野内豊と松雪泰子の家族なんて、史上最高のDNAの組み合わせ。その後、何世代に渡って生まれてくる子どもが全員美男美女で、幸せに暮らしましたとさ。
……なんて思いきや、まさか血が繋がっていないなんて。

 いや、そもそも《家族》って血が繋がってる必要ある?すべての《家族》に問いかける、アットホームなドラマに見えてサスペンス映画。逆に言うと、サスペンスの顔をしたアットホームなドラマでもあります。

たけうちんぐ at home 映画
( c )映画『at home』製作委員会

 単行本デビュー作『MISSING』で一躍脚光を浴びた本多孝好の人気小説を、『未来予想図〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜』の蝶野博監督が映画化。

 空き巣で一家を養う父親を竹野内豊、結婚詐欺師の母を松雪泰子が演じ、それぞれ犯罪に手を染めながらも幸せを追い求める健気な姿を見せます。3人の子どもたちを『MEN’S NON-NO』専属モデルとして活躍し、役者として活動の幅を広げている坂口健太郎、注目若手女優の黒島結菜、そして弱冠10歳ながら名優の貫禄さえ伺わせる池田優斗が演じ、さらに彼ら家族を事件に巻き込む犯人役でウーマンラッシュアワーの村本大輔が映画初出演。

「えっ?」と驚かせる観客すら巻き込むトリッキーな設定と展開が見ものです。

【簡単なあらすじ】

 空き巣の父・和彦(竹野内豊)と結婚詐欺師の母・皐月(松雪泰子)はそれぞれ悲しい過去を持ち、ようやく手に入れた《家族》で幸せに暮らそうと犯罪で生計を立てていた。3人の子どもたちと仲良く夕食を食べ、何でも正直に話し合う、誰が見ても温かい家族。だが、その正体はなんと赤の他人同士の《寄せ集め家族》だった。

 ある日、皐月の詐欺が相手の男・ミツル(村本大輔)に見破られ、身代金を要求されてしまう。母を助け出そうと、一家は力を合わせてミツルに立ち向かうがーー。

悲しい過去と幸せな現在が反転するタイミングとは。

 授業参加日、父・和彦が見守る中で末っ子・隆史が教室で「僕の家族」について発表する。リビングでは隆史のゲームに長男・淳が付き合い、高校受験を控えた長女・明日香、母・皐月がテーブルを囲む。そして手を合わせて、「いただきます!」。

たけうちんぐ at home 映画
( c )映画『at home』製作委員会

 どこにでもあるようでどこにもないような、そんな理想の家族像。ある意味何の面白みもない、何のドラマも感じない。でも、この家族の正体が物語の進行につれて明らかにされていく。

 この映画は先に答えを出す。そして、その理由を語り出す。まず幸せな家族の姿を見せてから、その一人一人の過去を描いていく。和彦がどのような経緯で家族を寄せ集めたか、そしてそれは何の目的なのか。彼の悲しい過去が描かれることにより、何の変哲もない家族が次第に色付けされ、他の家族ではありえない絆が見えてくる。

たけうちんぐ at home 映画
( c )映画『at home』製作委員会

 やがて皐月の人質事件を境に、サスペンスとヒューマンドラマが反転。その面白さに目が釘付けになってしまいます。

血の繋がりなんて関係ない。そこに思いやりがあればいい。

 和彦、皐月、淳、明日香、隆史の5人はそれぞれ《血の繋がった家族》を失った過去を持つ。その失い方がネットニュースを開ければ毎日のように飛び込んでくる悲痛な事件ばかり。

 そんな彼らが「家族」を追い求める姿に胸を打たれる。
血なんて関係ない。そこに絆があればいい。まるでここで描かれる家族が人生の避難場所にも見える。家族の定義なんてどうでもよく、他人を思いやるだけで幸せの道筋が生まれる。

たけうちんぐ at home 映画
( c )映画『at home』製作委員会

 この家族に限らず、幸せそうに見える人でも何かを抱え、何かを忘れようと必死に生きている。想像をするだけで、他人をもっと思いやれるかも知れません。

《家族》とは何か?その答えを知る時、5人が互いに見つめ合う姿が眩しく感じることでしょう。


8月22日(土)、全国ロードショー

監督:蝶野博
キャスト:竹野内豊、松雪泰子、坂口健太郎、黒島結菜、池田優斗、板尾創路、千原せいじ、村本大輔、國村準
配給:ファントム・フィルム
2015年/日本映画/110分
( c )映画『at home』製作委員会
URL:『at home』

Text/たけうちんぐ

ライタープロフィール

たけうちんぐ
ライター/映像作家

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