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  • 2017.03.31

「自分のこと大切にしなよ」と言う友だちに胸がザワつく。中村うさぎさん、どうすればいいでしょう?前編

性的に奔放だと「自分のこと大切にしなよ」としたり顔でマウンティングされてしまう…けれど、じゃあ自分を大切にって具体的にどうしたらいいの?結婚を考えるような相手以外とはセックスしてはいけないの?女子の恋愛事情について、中村うさぎさんにインタビューです。

恋愛一揆 中村うさぎ AM 自分を大切に
中村うさぎさん

 先日、女子会にて、性に奔放なAM編集部員が最近の自分の性事情について話したところ、その場に居合わせた友人から「もっと自分のこと大切にしなよ」と呆れ顔で忠告されたという話がありました。

 自分の好きなように恋愛やセックスをしているだけなのに、なぜ周囲から横槍を入れられるのか…。と忠告されたAM編集部員は不満げな様子です。

 女子会で言われたように「性に奔放な女子は、自分のことを大切にしていない」のでしょうか?「自分のことを大切にする」とは、一体どういうことなのでしょうか? そもそも「自分のことは大切にしないといけない」のでしょうか?
 
 これらの疑問に答えを出すべく、AMはエッセイストの中村うさぎさんにお話を伺いしました。うさぎさんがAMに登場するのは、2013年の特集「甘えと依存」でのインタビュー以来、約5年ぶりのことです。自分の足場が定まらない、自分の生き方に自信がない…という女性は、ぜひ読んでみてください。

 

援交女子たちは「自分のことを粗末にしている」のか

──「自分のことを大切にしなよ」と言って、他人の恋愛に横槍を入れてくる人たちは、どういう心理からそんなことを言うんだと思いますか?

中村うさぎさん(以下敬称略):これ、もっとも言われてるのが援交してる女子たちですよね、本当に根拠がないと思うんだけど。好きでやってるのに他人から「自分を粗末にしている」とか、「魂が穢れる」とか、「自分を貶めている」とか言われる。
性的なことになるといきなり神聖化して、「女の性は神聖だから、容易に分け与えちゃいけない」ってさ、男はいうんだけど、それって自分が独占したいだけじゃん!

──ああ、そうか! 

中村:誰ともやりたくない人はやらなくていいし、やりたい人はやればいいと。それはもう女の人が自分で決めることですよね。勝手に神聖化されるのは迷惑ですよ、ほんと。

自分の気持ちや欲望を肯定して生きることが「自分を大切にする」ということ



中村:「自分を大切にしなよ」って言われてさ、じゃあそもそも「自分を大切にする」とはどういうことなのかを考えなきゃいけないよね。

 私は、自分のことを大切にするっていうのは、自分の気持ちとか、欲望とかを肯定して、自分の生きたいように生きることだと思う。それでしんどくなっても自己選択だから、それはちゃんと引き受けるってこと。

 例えば他人から「これがあなたの幸せですよ」って言われて、そのままに生きることが自分を大切にしているとは思えない。いくつになったら結婚して〜、子供を産んで〜みたいなことを押しつけてくる親もいるじゃない。
 
──いますね~。

中村:自分が心の底からそうしたいんならいいんだけど、なんか違うと思いつつも、そうなのかな~とか思っちゃって、親の言うとおりにしたり、社会的な“正しい”に従順であったりするのは、自分を大切にしているとは言えないと思う。

 だってさ、一流の大学出て一流の企業に務めるのが幸せとか。いまもうそんなことないでしょ! 仕事より趣味に時間つぎ込んでるオタクのほうが幸せかもしれないじゃん。
 
──実際に幸せかどうかは他人からはわからないですよね。。

中村:そう、幸せは主観的なものなので、自分にとって何が幸せかってことをちゃんと考えないと、何を大切にするべきなのかって答えが出ないと思うんですよ。

 だから一度話し合ってみたいよね、他人に「自分を大切にしなよ」って言ってくる人と。その定義ってなんなの? って。まったく違う価値観で「幸せ」っていうものを考えてると思うから。
ただ、性的なこととなると、感染症と妊娠リスクもあるから、そこは自分を大事に守ってねって私は思いますね。

──そういう現実的なリスクについてはきちんと対策してほしいですね。 

中村:自分で自分の身を守る知識くらいは付けてないとね、精神的にも傷つくことあるし。そういう意味では大切にしてほしいですよ。

自分と正反対の生き方をしている人をみると、人は不安になる

恋愛一揆 中村うさぎ AM 自分を大切に
中村うさぎさん

──「自分のこと大切にしなよ」と言ってくる男性には、女性を独占したい思惑があるということでしたが、女性が「自分のこと大切にしなよ」と言ってくる場合は、どういう気持ちからなんでしょう? 

中村奔放にもならず潔癖に生きてきた女性は、その生き方が正しいって思いたいから、正反対の生き方をしている人のことを否定したり、敵意もっちゃったりするんだよね。まぁ、ちょっと嫉妬してるんだと思う。

 私も若かったときは、そうそう誰とでもするってわけじゃなかったし、時代的にもちゃんと好きな人とする、みたいな感じだったから、誰とでもやる子のことは少し下に見ちゃってた。いまなら、ただ羨ましかったから見下してたのかなって素直に思えるけど、当時はまったくそう思ってなくて。誰とでもするなんて、自分を安売りしてるって本気で思ってた。

 だから女性からのバッシングの場合、自分の潔癖な生き方というか、社会の枠に入った自分を正当化したいという思いがあるんだろうなと。そうじゃない生き方の女性を見るとちょっと不安になるんじゃないかな。

──バッシングしている人も揺らいでいるからこそなんでしょうか。

中村:そう、そもそもその人自身の立ち位置が不安定だからだろうなーと思います。

──あと、私は我慢してきたんだから、あなただって、みたいなところもありますよね。

中村:姑が嫁に言うみたいな。私も尽くしてきたんだから、あなたも尽くせみたいなね。

 そういうのは体育会系ですよね。「俺も先輩からしごかれたんだから、お前らもしごいてやる」みたいな、ある種のリベンジ。自分をしごいてきた先輩に反発するんだったらまだしも、自分より弱い後輩にそのシゴキの伝統を押し付けるっていうのは、要するにヘタレなわけじゃないですか。

──それを伝統という言葉で正当化されるのイヤなんですよね。

中村:世の中こういうもんだから従え、みたいなね。おまえが決めるなって話なんですけど。だから、バッシングしてくる女性たちも、何かしらの形で自分の生き方を正当化しないと、自分の立ち位置が不安になってしまうというのがあると思う。
批判とか、それはどうかと思うって提言するのは自由ですけどね。

──批判はいいですものね。

中村:そうなんです。それは違うと思うって意見するのは別にぜんぜんOKなんだけど。

──あと、奔放にセックスを楽しんでいると「そんなことしてると親が泣くよ」も、よく言われるフレーズです。

中村:「親が泣く」は言われますね。私もデリヘルをやってたときに言われましたもん。「親が泣くぞ」ってあんた、私の親知らないじゃんって(笑)。インタビューでもしてきたのかよ? って。

 そういうことを一方的に言ってくるのは、私に罪悪感を持って欲しいという気持ちなわけ。「親が泣く」と言われるのが私にとって一番辛いだろうと思って言うんだろうけど、私、親が泣いてもぜんぜん気にしないし。親が泣いたからどうよ? 親なんか泣かせたの一度や二度じゃない、みたいな(笑)。
 
 だいたい親なんか泣かせてなんぼですよ。
 
 ◆インタビュー後編に続く


(文/渋谷チカ)

中村うさぎ
1958年生まれ。福岡県出身。同志社大学英文科卒業後、OL、コピーライター、ゲーム誌のライターを経て、1991年にライトノベル作家としてデビュー。『ゴクドーくん漫遊記』がベストセラーになる。
その後、自身の壮絶な買い物依存症を赤裸々に綴ったエッセイシリーズで大ブレイク。
以降も、ホストクラブ通い、美容整形、デリヘル嬢体験を通じた、女の生き方や女の自意識に関する著述で多くの支持を集め続ける。

次回は<「20代は価値観がグラつくことに意味がある。他人の余計な一言にいちいち悩んでいい」中村うさぎさんインタビュー後編>です。
自由な恋愛やセックスを楽しんでいるだけで「自分を大切にしなよ」や「親が泣いてるよ」などの謎のマウンティングを受けてしまう昨今。でも、果たして自分がしているこの性行為って本当に楽しいんだっけ…?そんな風に価値観がぐらぐら揺らぐ若いとき、悩んだままでいいですか、うさぎさん?

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