2.悲恋ロマンティカ型

 悲恋ロマンティカ型はつらい体験や気持ちを「ロマン」という形で昇華しようと試みるタイプで、主にセフレ、浮気、不倫など、人に祝福されにくい恋愛をしている女性、激務ハイスペ彼氏なのでほとんどかまってもらえない女性に多く見られます。

「遠距離でなかなか会えない」「不倫だから一緒にいられない」「お互いに本命がいる」といった物理的な障害を、彼女たちは「トゥルー・ラブ ~真実の愛~」に爆速コンバート。
「抱き合うだけで体が息を吹き返すよう」「たった30分でも会いに来てくれた。いつも一緒にいるような人は、こんな濃密で甘い30分があるなんて知らないんだろうな」「あなたのことを思って、いつも彼に抱かれてるんだよ」といったロマンポエムを炸裂させます。
ネトストのサブアカウントが真っ黒になるのに対して、悲恋ロマンティカのサブアカウントはパステルお花畑に満ちあふれます。

 片思いソングや片思いBLなどを切ない系コンテンツを片っ端から摂取しては、随所随所に「彼女は私」「共感しすぎて読めない…」と感情移入しまくり、「この恋は特別」「まるで映画みたい」「これが真実の愛、最後の恋だと思う」とどんどんシナプスがハーレクイン文庫化していきます。

 それだけなら恋は盲目でかわいいものですが、悲恋ロマンティカ型はつらければつらいほどテンションが高まるよう自己プログラムしているため、「つらくない恋愛をしている人=平和ぼけして本当の恋を知らない」と見下しがちです。

「自分がこんなにつらい思いをしているのは、本当の恋愛をしているから。こんなに鼓動が高まり、いつも相手のことを考えているのは真実の愛だから」と悲恋ロマンティカ女子は陶酔しますが、残念ながらその激しい鼓動はつらみによるストレスで、相手のことを考えているのは相手を信頼しきれていなくて不安だからです。

 通常の痛覚を持っていれば、つらければ改善もしくは回避行動をとるものですが、悲恋ロマンティカ型はつらければつらいほど「私は幸せ!」と強制的に脳内補完するため、むしろ積極的にしんどさに突っ込んでいきます。

 結果としてストレスがめちゃめちゃに溜まっていき、そのたびにロマンという名の麻酔をキメまくるため、ロマン妄想まじ暴走。
「つらい恋愛をしている私はヒロインなの!」というストーリーを話して同意を得ようとするためは周囲の人間から辟易され、「平和だから真実の愛じゃないとかなに見下してるの」と反感を覚えられる始末。

 だいたいは脳内麻薬が効かなくなるほどつらみに追い込まれて爆発四散するか、浮気・不倫がばれて修羅場になるパターンが多く、皆にロマンポエムとヒロイン妄想を覚えられていて黒歴史☆

Text/ぱぷりこ
次回に続きます!

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