3Pに新しいメンバーが加わることに

そこから3ヶ月ほど、この3Pはなかったのだが、久々に富田から電話が来た。

「ねぇねぇ、ニノミヤ、私と近藤とアンタの3Pのことをさ、去年の合コンにいた原口にも言ったの。去年のあのメンバーで飲んだときにさ。そしたらさ、原口が『私も参加したい!』って言うの。今度、私と原口と3人で会わない? で、その次は私が抜けるから、近藤と原口とアンタとでヤるって話にしない?」

もう、セックスできれば嬉しくて仕方がないだけに、これには「よろしくね。楽しみにしているよ」と言い、日時を決めた。ただ、実は僕は前年の合コンにいた4人のうち、背が高くロングヘアーで目がクリッとしたもう一人が好みだったのだ。正直原口よりもその彼女の方が良かったし、彼女とであれば2人だけで会いたいとさえ思っていた。いや、実際は3人でヤるよりも、全員と個別に会いたいと思っていたのだが、なんだか我々はもはや「3人で会う」ことが定番になりつつあるようだった。

だが、さすがにその彼女はこんな素っ頓狂なプレイを良しとするワケもなく、「アンタも来る?」と富田から言われても「私はいいよ~」と断ったのだという。

そして、約束の日、近藤と“新人”である原口とまたしても同じラブホテルに行き、前回の「中途半端プレイ」の失敗を活かし、最初から僕が1人を相手にし、続いてもう1人を相手にする、ということで合計4回やった。原口はこの3人のうちでもっとも激しいセックスをするタイプで、スレンダーながらもCカップの形の良いバストは均整が取れていて一番の好みだった。フェラチオも上手で、Gカップの富田も良いが、原口とのセックスはとても楽しかったし気持ちよかった。満足度はNo.1だった。

終了後、富田は「じゃ、原口、今度は近藤とニノミヤとスケジュールを調整して3Pやってね。その後はまた私と近藤とニノミヤでヤるからさ」と言う。

この3人のうち2人と僕が会い、ホテルに行くという流れができたようだ。この間、僕は別に恋人ができるわけでもなく、セックスといえばこの3人のうち2人とやりつづけるだけだった。

処女だった近藤が「最後に会わない?」

そしていつしか富田は地方に転勤し、近藤は彼氏ができ、原口は相変わらず同じ会社で働く、といった状況になり、我々の3P習慣はなくなった。そして社会人3年目(つまり最初の3Pから約2年半後)、突然近藤から電話が来た。僕が初体験の相手だったあの女性だ。

「あのぉ、私、結婚することになって、もうすぐ夫の転勤で四国に住むことになるの。最後に会わない?

我々は東京・恵比寿の蕎麦屋へ行き、酒を飲みながら近藤の結婚を祝ったのだが、話はやはりあの3Pの日々の話になる。

「なんか楽しい日々だったよ。ありがとう」

「私も、ニノミヤと富田に色々教わってよかった」

こういう流れになると「じゃあ、今からヤらない?」という話になるのは若い男女の道理。恵比寿のラブホテルに2人して向かった。ついに我々の「3人ルール」は破られ、ついに2人だけでの逢瀬となったのだ。元々の発端だった富田との2人っきりは一度もなかったのだが、まさかのあのウブだった近藤からのお誘いだ。

見慣れた小柄な全裸姿だったが、セックスが開始したらギョーテンした。とにかく手の動きと舌使い、口の動かし方がとんでもなく上手なのだ。

「ちょっと待った待った!!!!」

「えっ? どうしたの?」

「近藤、ちょっと上手すぎ! このままだとすぐにイッちゃう。手と口ではイキたくない! ヤバい。こんなに上手な人、初めてだよ」

「へへぇ~、●●君と毎晩ヤッていたから鍛えられて私、すごく床上手になったんだよね~。初めてヤッたニノミヤにこのテクを体験してもらいたかったの。本当にあの頃はありがとうね。別に、あなたは何度もイケるんだから、これで一度出しちゃおうよ」

かくして一発目は近藤の手と口で果ててしまい、そこから本格的にセックスを開始するのだが、あの初体験のときの恥ずかしがる姿は一切なく、69なども含め、ありとあらゆるプレイを楽しもうとする。僕がリードしていたあのときの近藤の姿はもはやなく、彼女が完全に主導権を握り、この晩は3回射精した。

帰り際に「私は四国に行くので多分もう会わないけどありがとうね」と言われ、以後近藤とは会っていない。そして、言いだしっぺの富田もあれから日本中を渡り歩いて仕事をする人物になっており、会う機会は失われた。

そして残された2人は…

そして3人目の女性・原口だ。初めて会ってから3年半後、26歳になった僕に電話をかけてきた。彼女はまだ当時と同じ会社に勤めているという。平日の夕方に電話が来た。このときは携帯電話を互いに持っている。

「今さ、ニノミヤの会社の近くにいるから会わない?」

定時が来てすぐに僕は退社し、近くのイタリアンレストランでランチを取り、ビールも飲んだ。

「近藤も富田も東京からいなくなっちゃったね~」

「そうだなぁ……。あの奇妙な関係で残ったの僕たち2人だけだね」

「だからさ、今日ヤらない?」

まさかの論理の飛躍だが、なんとなくいなくなった2人、そして原口との縁を繋いでくれた近藤と富田への感謝ということで、僕は原口とともにJR山手線・鶯谷のラブホテルへ行き、初めての2人きりのセックスをしたのだった。

その後この3人とは1度も会うことがないまま20年が経過した。3人にとっても「若気の至り」的なバカな思い出だとは思うし、今はいい年をした子どももいることだろう。若さゆえの暴走と快楽だったと4人揃って思っているのであれば嬉しい。少なくとも僕にとっては20代前半~中盤の素晴らしい思い出である。

Text/中川淳一郎