「あの子もヤりたいって」3Pをしまくるようになった男の話【後編】/中川淳一郎

中川淳一郎コラム

前回書いた富田と近藤との3P話だが、これがその後も続くのだ。この2人とは大学4年生のときに合コンで出会い、翌年、3人が新社会人になった5月に電話が来て会うことになったのだ。富田から「このコ、まだセックスしたことないからアンタやってよ」と言われ、「えぇ~恥ずかしい、富田も来てよ」と言われて3人でラブホテルに行き、まずは僕が富田とともに「模範演技」を見せ、その後近藤が初体験をし、富田が脇でボクシングのセコンドの如く近藤に腰の動きなどの指示を出すという妙な展開になった。

結果的に近藤は僕との3Pにより処女を失ったのだが、我々はこの日2回ずつセックスをし、ラブホテルの「休憩」が終了する2時間になる直前に慌てて服を着て外に出た。

腹も減ったからどこかで夕飯を食べようということになり、渋谷の街中へ。富田から「どうだった?」と聞かれた近藤はこう言った。前回まで本連載に登場する男のことは●●と呼んでいたが、村上春樹の小説に出てくる男が一時期「ワタナベ」が多かったこともあるため、これから登場する男のことはニノミヤと呼ぶことにする。近藤は上気した顔でこう言った。

「すごい楽しかった~、なんで私、これまでヤらなかったんだろう」

我々はラブホテル街を出てすぐのところにある台湾料理の店へ行き、ビールで乾杯をしたのだが、近藤の初体験の話で持ち切りとなった。

「アンタさぁ~、なんで最初私にニノミヤとヤらせるのよ~!」

「だって、恥ずかしいし、心の準備もできていないから富田にまずはやってもらったんだもん!」

「アンタがいきなりヤッて、私はヤらなくても別に良かったんだけどね。まぁ、ニノミヤと私はけっこう相性良かったけどね」

こんな話をしたのだが、結局その2週間後の土曜日に再び同じホテルで3Pをする約束をしてしまったのである。いや、厳密に言うところの3Pでは男が2人で、女が前にいる男のアソコをしゃぶり、後ろから突かれる、といったことをイメージするが、我々はあくまでも1人の男が2人の女を1人ずつ相手にする、というタイプの3Pだった。

定例になった富田と近藤との3P

翌月曜日、会社に行くと月曜朝10時定例の部会があった。普段は業務連絡をするだけなのだが、この日に限ってA部長は「今日は皆、週末何をやったか報告し合おう」と切り出した。部の先輩方が「サーフィンをしました」や「アウトレットに行きました」などと言う中、僕の番がやってきた。隠しても仕方がないし、これ以外に思い出もない週末なのでこう言った。

「3Pをしました」

すると全員が一瞬唖然とした後、爆笑した。そしてA部長はこう聞いてきた。

「男が2人かね?」

「いえ、僕1人で女が2人です」

するとA部長は「オッ、オレも呼んでくれよ~!」と言うではないか! A部長は独身である。一瞬それもいいかな、と思ったものの、さすがに上司が全裸になって腰を振っている姿など見たくないのでこの申し入れは拒否した。

そしてやってきた2週間後の土曜日の夜、今回は慣れたもので、3人で利用する場合は1.5倍を払えばいいことが分かっていた。すると、そこに突然入ってきたのが、大手引越チェーンの5人ほどの集団だった。別にラブホテルの引っ越しというわけではなく、恐らく深夜ないしは早朝に渋谷で現場があるため、ラブホテルに泊まるのであろう。すると彼らはざわめき始めた。

「オッ、3Pだ!」

「3P! 3P!」

「ヒューヒュー! よぉ! モテ男!」

「ヨッ、楽しんで来いよ!」

こんなことを言われるものだから恥ずかしくて我々はすぐにエレベーターの方に逃げて部屋へ。今回は1人ずつ相手をするというよりは、2人とも何日も前から楽しみにしていたようで3人でシャワーを浴びてベッドになだれこみ、最初は僕が口と手で2人の局部をいじりつづけ、途中から交互に挿入するというよくわからない展開になった。ただ、さすがにこれは誰も落ち着かず、結局は前と同様に1対1でやることに。

この日は「宿泊」で恐らく朝までに7回はヤッたと思う。22歳というのはそこまで元気なので、若い男と付き合うアラサー女性はヤりたかったら何度も勃たせ、ヤりつづけてもいいのではないか。

翌朝、よく晴れた日曜日の朝、我々は外に出て爽やかな空気を吸い、各自が乗る電車に乗って別れた。