欲望ムンムンなガチムチ男性が美人な女性を征服する…
Tobyotter
日本の古い映画を観るのが好きです。
つい先日は石坂浩二の金田一耕助シリーズをぶっ続けで観たのですが、昔の映画女優のなんと気品高く、清楚に可憐でいて、艶っぽく美しきことよ……と深い感激に浸りました。
が、さて、もうひとつ括目すべきは、権力欲と精欲に滾る男性陣です。
東野英治郎演じる『獄門島』の鬼頭嘉右衛門、三國連太郎演ずる『犬神家の一族』犬神佐兵衛などなど、下処理していないホルモンをどろっどろに煮込んだように欲望ギッシュな男性陣を鑑みると、すぐにEDやら中折れやらと騒ぎ立てる軟弱ボディに「付き合うまでセックスはしないのがフツーでしょ?」というウブなお嬢ちゃんのようなメンタルを持つイマドキの殿方は、まるで春雨か卵の卵白のごとく無味に思えてきます……というわけで、今回ご紹介するのは霧原一輝著『鬼の棲む蔵』(悦文庫)。
そして今回はヒロインではなく、主人公の小野東吾にスポットを当ててみましょう。
東吾は自分が見栄えしない風体であることは痛いほどにわかっている。
背は低く、ずんぐりした体型で、顔もエラが張って将棋の駒のようだ。
こんな醜男が美人を同伴していることに、他人は驚き、どうしてこの男がと頭をひねる。
それが痛快で仕方がない。
(『鬼の棲む蔵』P22L8-11)
創業100年を超える小野酒造の七代目蔵元・小野東吾。
六十三歳になっても、欲望はムンムンに滾ったままで、かつ、その性格は傲慢で上昇志向の強い野心家。
女性に対しても『惚れるということはその女の肉体を奪うことと直結している』(『鬼の棲む蔵』P25L7)という考えの持ち主です。
そんな東吾が女性を征服する方法とは――。
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