22歳青年を魅了するバーのママ、色香の秘密…『甘く匂う』(前編)

恋人の浮気で、すべてを失った青年を救ったのは、キッチンバーのママだった?官能小説から「そそる女」の魅力を読み解く。<br/> 10年かそこら前。今の年齢(わたくし、今年37歳になります)になった頃には、『結婚していたいな』とか『子供もいたらいいな』だとか、あと『バイトは辞めてライター一本になっていたい』などという、ボンヤリとした未来のビジョンを抱いていました。 <br /> <br />  結果、結婚はできたけど、子供はなし、アパート暮らしだけれど、なんとか食えている……という『世間様からはどう見られているかわからないけれど、自分的には、まぁ満足』と思えるくらいの自己実現は果たせました。<br /> しかし一方で、その頃には予想だにしていなかった恐ろしい現実が…

「寝たいか寝たくないか」以上に深刻なとある事情

大泉りか 官能小説
by Kris Krug

 10年かそこら前。今の年齢(わたくし、今年37歳になります)になった頃には、『結婚していたいな』とか『子供もいたらいいな』だとか、あと『バイトは辞めてライター一本になっていたい』などという、ボンヤリとした未来のビジョンを抱いていました。

 結果、結婚はできたけど、子供はなし、アパート暮らしだけれど、なんとか食えている……という『世間様からはどう見られているかわからないけれど、自分的には、まぁ満足』と思えるくらいの自己実現は果たせました。
しかし一方で、その頃には予想だにしていなかった恐ろしい未来が到来し、それがいま、直視し難い現実となってわたしの肩にのしかかってきている……

 それは、この10年で10キロほど肥え太ったという事実です。

 もともと痩せているタイプであったので、服を買う時は、何も考えずにSサイズをチョイスしていましたし、乳こそ小さいなれど、ウエストのクビレはあったので、突然、ホテルに誘われても『その人と寝たいか寝たくないか』のみで判断すればよかった。
が、しかし、下腹に大量の脂肪が蓄えられた今となっては、通販で服を買おうものならウエストがキツくて着られない上に、セックスに誘われても「このみっともない下腹を見せる勇気がない……」と断わざるを得ない。
そんな、まことに生きにくい肉体へとメタモルフェーゼしてしまったわけです。

 というわけで、今回、ご紹介するのは、川奈まり子さん著『甘く匂う』(廣済堂文庫)です。