官能小説・主人公から学ぶファム・ファタールのススメ

自分で縛ることにハマって…人に言えない性癖の話『自縄自縛の私』(前編)

官能小説から男目線の“そそる女”を読み解く!

第10回:蛭田亜紗子・著『自縄自縛の私』(前編)
自縛好き主人公が追い求めたエロス

大泉りか 官能小説
Mikamatto


 女子会での定番トークといえば、恋愛話。
彼氏のセックスの不満や、最近デートした男のベッドテクの感想などなど、少々えげつない話で盛り上がることも少なくはありませんが、常々、なぜこの話題は出ないのだろう……と不思議に思っていることがあります。
それは『性癖の話』です。

 もちろんのこと、「ちょっとM」だとか、「わたし痴女っぽいから」くらいの性癖の話ならば、軽~く話題に出ることはあります。
が、「ハプバーに通い詰めて複数プレイにハマっている」「アナルバイブを挿したまま電車に乗るのが夢」などという深刻な告白はあまり聞きません。

 彼氏のノロケ話や愚痴の延長であるセックストークは出来ても、自らの性癖を口にするのは、まだまだ抵抗がある。
性癖を満たしてこそ、あなたの快感は叶うというのに、そこに蓋をしてしまうのは、照れ、羞恥、嗜みから「人様に言うことではない」と考えてしまうからでしょうか。 けれども性癖こそセックスの最後の砦でもあるのです。

 というわけで、今回紹介するのは、『女による女のためのR-18文学賞』にも輝き、映画化もされた(シネマレビューはこちら)蛭田亜紗子さんの『自縄自縛の私』。

 この作品のヒロインである「私」もまた、誰にも言えない性癖を持て余しています。