第9回:渡辺やよい・著『そして俺は途方にくれる』(前編)
ヤリチンとイケメンはセックスが下手
Tiffany Bailey
『ヤリチンほどセックスが下手』という通説があります。
なぜかというと、ヤリチンが女に求めているのは、たんなる性処理の相手や、攻略する喜びを得ることのできる標的であって、そこでのセックスにクオリティは二の次の話だから。
相手を満足させるような、技巧的で、献身的で、情熱的な愛撫などは面倒であり「好きでもない女になんでそんなことしないといけないんだよ」というわけです。
むしろ、いいセックスをして、「あのセックスが忘れられない……」などと執着されてはむしろ困る。
そして、多くの女性は、『気持ちがいい』もしくは『愛情の交流』であるセックスがしたいわけで、ヤリチンとなどセックスをしても「何もいいことがない」と知っている。
なので、ヤリチンに引っかかる女はちょっと痛い。
しかし、果たしてこれは真実なのでしょうか。
というわけで、今回ご紹介するのは渡辺やよいさんの『そして俺は途方にくれる』(双葉社刊)。
レディコミ作家の渡辺やよいさんの処女小説作品であり、第二回R-18文学賞の読者賞を受賞した作品です。
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