「見る・話しかける・触れる」魔法

 例えば、セックスの最中、彼の愛撫が「気持ちよくない!痛い!」と思う時って、相手に対する苛立ちとがっかり感が湧き起こりますよね。そのテンションのままダメ出しをすると、直接的な言葉にしなくても、「あなたって本当に残念な人ね!」と相手の存在さえも見下しているかのような態度が伝わってしまいます。
私は、セックス時の興奮している男性を、おもちゃ遊びに夢中になっている5才児だと想定しています。
ペースを乱されると、癇癪を起したり、機嫌が悪くなる。大人であれば、男性機能も萎えてしまう。
興奮により、情報の入り口が狭くなっているので、その狭い情報の入り口に届くようきちんと伝えることを心がけます。
さらに付け加えると、相手を、ビックリさせないこと。そして、「あなたを大事にしているよ」という気持ちを忘れないこと。

 できるだけテクニックの手直しを少なくするためには、不快に感じる前のセックスの序盤で、あなたが心地よいと感じる「愛撫のよい見本」をカラダで表現するのです
そこで、出てくるのが、ユマニチュードの基本のコミュニケーションです。

見る:相手の視野に入り、同じ目線の高さで、親しみをこめた視線を送る。
話しかける:実況中継するように、ゆっくりと声がけをする。
触れる:優しく声を掛けながら、そっと触れる。

 例えば、こう。
お互いの息づかいを感じられる距離に近づき、彼の視線を捉える。
「あなたのことを尊重していますよ」と心の中で思う。
彼の耳元で、やわらかいトーンで語りかける。
「触るね。強すぎない?どんな感じ?もうちょっと続けてもいい?」
実況中継をするように絶えず話しかけながら、あなたのして欲しい愛撫を行う。
クリトリスを優しく触って欲しいなら、彼の乳首をクリトリスに見立てて触れたり、唇や舌でオーラル愛撫をする。
膣内への刺激をソフトにして欲しいなら、彼の口を膣に見立てて、あなたの指を挿入して、疑似膣内愛撫を再現する。
「ねぇ、私にも、今みたいに触ってみて」

 これを繰り返すことで、知覚の連結と感情の固定ができます。
視覚、聴覚、触覚のすべてに同時にポジティブなメッセージを伝えるのが、「知覚の連結」
「彼女は優しい人だ」「彼女は僕を傷つけるようなことはしない」という感情を覚えてもらうのが「感情の固定」です。
行為が終わったら、『今日のセックス、すごくよかった!』と振り返り、『またこういの、したいね!』と名残惜しさを残しながら、再会(次回のセックス)の約束をする。

 このことに気をつければ、彼が聞く耳を持ってくれて、角が立つことがないんです。
コミュニケーションの心構えを変えるだけで、魔法をかけたかのように、相手の態度がやわらかく変わります。
「彼って、何言ってもダメなのよ…」と思っている人こそ、騙されたと思って、試してみてください。やさしい気持ちでね。

つづく。

Text/OLIVIA

次回は<「楽しいから」彼はセックス上手になる!子育てと同じように>です。
より良いセックスのためには、相手にしっかりと伝えコミュニケーションをとることが必要不可欠ですよね。OLIVIAさん曰く、子育てのように粘り強く取り組んでいくのが重要とのこと!そこで今回は、「子供の才能を伸ばす方法」を応用したセックス・コミュニケーションについてご紹介します!