「花嫁修業」は男性こそすべし

 ジェンダー論が専門の社会学者・瀬地山角が東洋経済ONLINEの連載で述べているように男の家事能力とモテには密接な関係がある。

「第14回出生動向基本調査」(2010年)によれば、結婚相手の条件として求めるもの第1位は男女とも「人柄」である。ただこれはまあ、結局本人にしか分からないフィーリングというやつで何も言ってないに等しく、1位になるのは当たり前だ。

 興味深いのは、独身女性がパートナーに求める条件第2位が「家事の能力」だということである。
しかも、男性が「家事の能力」を結婚相手に求める割合が93.1%であるのに対し、女性の場合は96.4%で微妙に上回っている。
さらに、「考慮する」程度ではなく「重視する」と答えている人の割合は、男性47.5%、女性62.4%であり、より差が大きい。

 もちろん、男女で異性に期待する家事能力の程度が違うのは間違いない。
女性が「週に1回夕飯の準備を代わってくれたらな」という程度しか男性の家事に期待していなかったとしても、男性のなかには「女たるものサムゲタンぐらい作れなくては」と考えている人もいるだろう。
逆に女性も「男たるもの年収600万ぐらいなくては」と過度に期待している部分もあるかもしれない。

 だとしても、あえて大げさに言うなれば、「花嫁修業」の効果が高いのは女性よりも男性なのである。
しかもさらにグラフを見ると、「経済力」よりも「家事の能力」のほうが重視されているではないか。経済力があって家事ができない男性よりも、家事ができるヒモのほうが結婚できるのだ! まいったねぇさんがモテるのも当然だ!

 ただし、交際市場と結婚市場は別だし、交際開始能力と交際継続能力も別である。
だからつまり、料理が得意でも「胃袋をつかんで逃がさない」ことができるだけで、おそらく「惚れさせる」際には威力を発揮しない。
したがって、「人柄」「容姿」など含めた総合的な人としての魅力が伴わずにただ料理が上手なだけならば、宅飲み用の便利要員に収まるのがオチだろう。

 けれども、料理スキルは男女関係なく「人間」のスキルとして重要であり、一人でつくって一人で好きなものを食べるのもそれはそれで楽しい。
私も見習って、フレンチトーストレベルから料理を始めてみようと思う。
まいったねぇさんも、「『できること』からやってみると意外な道が拓けるかも知れません」と言っていることだから。

Text/服部恵典

次回は<男女の友情は成立するのか?――数%のセックス成分>です。
男女の友情は成立するのか。AMのコラムでも何度も論じられたこのテーマに、女性向けポルノを研究する東大大学院生が出した答えは「成立する。セックスせずにいられるからではなく、セックスしても友情は成立するからだ」というもの。一体なぜ?その答えは「ホモソーシャル」を描いたBL(ボーイズラブ)作品にあるようです!