女優がカメラ目線になる5パターン
女優がカメラ目線になるパターンを、5パターンに分けてみた。
まず最も分かりやすいのが、いわゆる「男性主観」、つまり男優とカメラの目が一体化しているパターンである。
要するに、視聴者たる〈俺〉はAVに映る女性の「彼氏」だったり「お兄ちゃん」だったり「奴隷」だったり「患者」だったり、何らかのシチュエーションにおかれた上で虚構の二者関係を楽しむ。
男性視聴者が女優を見つめるだけでなく女優が視聴者を見つめ返すときに、〈俺〉と〈きみ〉の虚構の二者関係がより強化されるのだ。
この「男性主観」と微妙に異なるのが、「ハメ撮り」である。2つは重なる部分も多いが、今は別物として定義しておこう。
「男性主観」の場合は、男優のほかにカメラマンがいて、男優の顔の近くでカメラを構えていることが多いのだが、「ハメ撮り」の場合はハメながら撮る。つまり男優がカメラマンを兼ねており、正真正銘、男女二人きりで撮影する。
大事な違いは、「男性主観」は女優が〈俺〉に向かって語りかけてくれるのに対し、「ハメ撮り」の場合は女優がセックスの相手=男優に向かって語りかけることだ。
同じカメラ目線ではあるが、“視聴者に向かって話す”のと、“男優に向かって話しているつもりなのに視聴者に向かって話しかけているように見える”のとは全く別である。
しかもより正確には、女性が本当に男優の目を見ているならばカメラから微妙に視線が逸れるのだ。
さて、大事なのはここからだ。
上記2パターンは、女優は性行為の相手と目が合っていた。
だが男性向けAVの場合、視線の先、つまり「カメラ」が性行為の相手ではないパターンが3つある。
1つは簡単だ。女優が監督、あるいはカメラマンを見ている場合である。
たとえば、インタビューシーンの途中から、背後に男優が現れておっぱいを揉み始める、というような。
2つ目は、『目の前で痴漢されている女子高生とずっと目が合っていた』(2011、SODクリエイト)や「痴女る女と犯ラレル男とそれを傍観する俺ら」シリーズ(ワープエンターテイメント)などの作品の場合。
要するに、タイトルから分かる通り、〈俺〉はセックスには参加しないがセックスの現場に関わっている人物だ。
こういう場合、カメラの位置は性行為を行う男優の目の位置とは重なっていないが、結局は別の男性登場人物の目の位置と重なっているのであって、「男性主観」の亜種であるといってよい。
レアケースではあるが、理解するのは簡単である。
ここまで話が長くなったが、重要なのは最後のパターンである。
今までの4パターンは、女優がカメラ目線になる理由が明確だった。“男がそこにいるから”、もしくは“カメラがそこにあるから”だ。
しかし、男性向けAVの場合、女優が愛撫するのは男優なのに、女優が男優の方を向かずに、なぜそこにあるのかわからない「目」を見て「気持ちいい?」と聞いてくる、というようなシーンが少なくない。
これは、いったい何なのか?