いま思えばお互い気楽でいい

 その人物とは、仕事帰りに待ち合わせて酒を飲み、彼のマンションに泊まり、翌朝彼の出勤時間にあわせて一緒に部屋を出るのがお決まりのパターンでした。彼も筆者も大酒飲みなため、毎回べろんべろんに酔っ払って、そのまま床に就くことになるので、当然のことながら夜セックスは実施不可能。翌朝も、二日酔いでギリギリまで寝ているため、朝セックスという雰囲気にもなりません。そもそも、前の晩に浴びるほど酒を飲んでいるため、お口の匂いも気になりますし。このままセックスせず解散かなと思いきや、ネクタイを締めスーツを羽織った頃に、毎回彼が言うのです。「やっぱりセックスしたくなった」と。

 こうして、家を出るまで10分しかない環境下、挿入だけのセックスが始まります。前戯がないどころか、服すら各自で脱ぐのが当たり前(もちろん下半身だけ)。ストッキングとパンツを自らおろし、リビングのカーペットに仰向けになって、「はい、いいよ」と開脚する……改めて書くと、完全に肉便器ですよね。終わった後も、各自で服を着て、いそいそと部屋を出る……ムードもへったくれもありません。

 当時は、あの関係性に多少なりとも不満はありました。ところが、いま振り返ると、すごくラクチンだったなぁと懐かしく思うから、心境の変化って不思議なものです。キスするためにオーラルケアを頑張ったり、ペッティング時に腹を引っ込めたり、チン臭に耐えてフェラチオしたり、クンニリングスに備えウェットティッシュを持ち歩いたり……そういった手間から解放される、挿入だけの関係性って、お互いに気楽でええじゃないかと、ここに推奨いたします。

Text/菊池美佳子

次回は <イチモツは振れるのに、なぜ話は振れないの?男性の思考回路>です。
男女で違う会話スタイル。女友達とは話を振り合って会話が進むのに、男性相手だとなんか違う。男性が自分のことばっかり話してるのをイライラしながら聞くこともよくありますよね。どうして男性ってイチモツはぶんぶん振るのに話は振らないの!?男女の会話の心理的メカニズム、菊池さんが解説してくれます。