『セックス・アンド・ザ・キャシー』という連載を書こうと決めたのも、セックスの話をするハードルが少しでも下がればいいと思ったからだ。
 ジョークのネタや恥ずかしいものではなくて、セックスをセックスとして素直に見れるようになってほしい。
ちょっと変な性癖だって、他の人と形や色が少し違ってたって、普通に当てはまらない関係を楽しんでたって、それを祝福できる素敵な世界になってほしい。そんな思いを込めながらいつもコラムを執筆している。
  69という体位が自分に合わないと発覚した後も流れに任せ、セックスの度に無理して69をしていた。
 身長差が極端な人との69で相手の股間に届かなくても、何も言えなかった。
 69が苦手な自分はアブノーマルで、69が好きな普通の人に合わせるべきだと無意識に考えていたのだろう。
 それを口に出して、自分の前にあるセックスを改善しようなんて思ってもみなかった。
 我慢する方が楽だったのかもしれない。「郷に入れば郷に従え」というが、その郷に自分の居場所がないのなら新たな郷を自分で切り開くことも時には必要だ。
「69、あんまり好きじゃないから違うことしよう」
  とてもシンプルな提案である。
 そんな提案を口にできるようになるまでだいぶ時間がかかった。
 自分の性癖を他人と共有するのは恥ずかしいことだと思っていたからだ。
 しかし、気持ちの良いセックスがしたいのならば、その交渉を避けては通れない。
  今もぎこちないが、少しずつセックス・コミュニケーションが上手になってきたような気がする。
 もちろん、69を我慢してするセックスと出会うことはこれからもきっとあるだろう。
 しかし、それ以上に気持ちの良いセックスと出会えるように祈っている。
Text/キャシー
 次回は <信頼関係は時間をかけて築くもの>です。
 次回は「恋愛における信頼関係」について。表面上の信頼関係を構築してもあなたは信じぬくことできますか?
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