儚い自尊心と生きるということ

 自分は価値がない人間だと感じてしまう瞬間は誰にだってある。
勢いに乗っている間はそんなことを考える必要はないかもしれないが、ずっと走っていればいつかは転ぶ。
いくら自信に溢れて完璧に見える人間でも、些細なことで自信を全て失って、不安に苛まれることがある。
自尊心とは儚いものだ。こんな葛藤は人生の様々な場面に当てはまる。
もちろん、恋愛やセックスをする上でもこの自尊心からは逃げられない。

「こんな自分は一生恋愛できないかもしれない」

 度重なる失恋を経験している友人はどん底に落ちていた。
今度こそはと新しい恋に臨んでは期待を裏切られるの繰り返し。そうやって当たって砕ける度に自分を疑う。
見た目がダメなのだろうか。性格に問題にあるんだろうか。きっと誰からも好かれないのは自分のせいだ。

 その負のサイクルからなかなか抜け出せずに、自分には価値がないと思い込んでしまう。
だから、いつもなら決して納得しないような恋愛やセックスだって、そんなものさと諦めて受け入れてしまう。
そうやって生きていれば、自分をさらに嫌いになって、自尊心もどんどん萎んでしまう。