母の考えにも一理あるとは思いながらも、「恋愛して家庭を築けば老後も安心」というロジックは安直なラブコメのようで納得がいかない。

 そもそも、幸せそうなキスで幕が降りるところがピークなラブコメはその瞬間で終わるわけで、その後に何が待ち受けているのかなんて誰にもわからない。
百歩譲って彼らが順風満帆な恋愛をして、絵に描いたような家庭を持って、死ぬまでお互いを愛していたとしよう。そんなハッピーエンディングな人生を送ったところで、彼らはきっとそれぞれに孤独を感じて最後の時まで生きただろう。
ラブラブな恋愛や幸せな家族で寂しさが満たされるなら、人間はこんなにも孤独を恐れる必要はない。

 このコラムを通して口を酸っぱくして言っているが、恋愛やセックスはそれ以上でもそれ以下でもない。そこにないものを求めたところで何も得られない。セックスを山ほどしたって、恋愛を無休で続けたって、心にのしかかった孤独感は満たされない。
寂しさが恋愛やセックスで解決すると思っているなら、すればするほどより寂しくなっていくだろう。そう言い切ってしまうと絶望的に聞こえてしまうが、決してそんなことはない。そこにないとわかっていれば、余計な期待をしないで済むし、セックスも恋愛もより自然体で楽しめる。

 それでは、この孤独感を無くすにはどうすればいいかと聞かれたとしよう。何をしても無くならないなら、受け入れて生きるしかないとしか答えようがない。
別に強がる必要はないし、感じないように蓋をする必要も無い。押し潰されそうな日もあるかもしれないが、無理に戦うこともない。人は孤独ないきもの。
最近になってようやく、この悲しい結論を受け入れた。いざ頭で理解すると、なんだか心まで少し軽くなった。これからは、ゆっくり時間をかけてこの感情と仲良くなっていけばいいと思っている。

 いつのことか、こんな素敵な話をされたことがある。

「恋愛は寂しさを埋めるんじゃなくて、自分が孤独を感じていることを共有できるパートナーを持つことだ。それだけで、この孤独を感じているのは自分だけじゃないんだってわかるから、なんだか前に進む力がもらえる」

 そんな恋愛を心がけたいものだ。

Text/キャシー