お姫様願望がまるでなかった

アル:子どもの頃、ディズニーのお姫様とかに憧れたことがないんだよね。つねにアクション映画の強いヒロインに憧れていた。
中学時代『プリティウーマン』が大ヒットした時も「クソつまんねえ!結局、男は金で女は顔かよ」と思ったし。 

K:高校の文化祭で若貴兄弟のコスプレしてなかった?

アル:まああれはデブだったしな。しかも若乃花でブスの方だった(笑)。
もともとお姫様願望がなかったし…あと小学生の時にジュリアナブームを見て「チャラチャラ着飾って男に媚びて最悪だな!」と思った。昔からそういう性格だったんだろうな。

K:僕は中高時代にフランス映画が好きで、メンノンのモデルやジョニー・デップに憧れて、漫画だと『バナナフィッシュ』にハマって…周りの男友達とは全然違った。周りは女性アイドルとかヤンキー漫画やバトル漫画が好きだったから。
そんな自分は異端だと思っていたけど、それで悩んだりはしなかった。

アル:「自分は自分」と思っていた?

K:うん。大学に入っても女の子やセックスに興味なくて、9割の人に「ゲイだよね?」と言われたけど気にしなかった。「男らしくしなきゃ」とか思ったこともないし。

アル:それって珍しいみたいよ。ゲイ扱いされると悩む男子は多いらしい。

 私も「女らしくしなきゃ」って悩んだことないんだよね。周りの男に「もっと女らしくしろ」とか言われても「何言ってんだ、コイツ馬鹿か」と思ってたし。
それってジェンダーフリーに育った影響もあるのかも。のびのびと自分を貫けたというか。

K:でも自分はそれが自然だからよくわかんないよね。べつに特別とか思ってないから。

アル:そうそう。私もだいぶ大人になってから「自分はジェンダーの刷り込みとやらが薄いらしいぞ」と気づいた。