自分の遺伝子から遠い人はいい匂い

本能に一番近い感覚って嗅覚なんだけど、以前テレビのバラエティー番組で面白い実験をやっていたよ。

男性タレントが8人くらい、新しいTシャツを一日着て、その、汗や体臭のついたTシャツをそれぞれビンに入れる。で、女性タレントがそのビンの中のTシャツの匂いを嗅いで、一番気に入った匂いを選ぶ。

体臭のクサさや、いい匂いなんて、そんなに個人差ないと思うじゃない? よっぽど個性的じゃない限りは、みんな同じ匂いが好きだろうと。

ところが結果はバラバラだったのよ!
「ええ~、なんでそんなクサいのが、いい匂いなわけ~?」って女性タレント同志は言い合うの。

この実験は、自分の遺伝子から遠い人を私たちは「いい匂い」と感じて、近い人は「クサい」と感じるようにできている、と証明するために行われたの。

だから、思春期になって、大好きだったパパの匂いにウゲっ!っとくるのは、生殖器が正常に発達してきて、掛け合わせるとまずい遺伝子を近づけないようにするサイン。まさに遺伝子くんの働きなわけ。
いやー、いのちってホントーに良くできていますなあ~!!

恋愛はホルモンの仕業?

つまり、恋愛っていうのはホルモンの仕業なのですよ。

あんなに胸を焦がした恋愛も、別れてもどーしてもどーしても忘れられない彼も、偶然の出会いで恋に落ちたのも、それは前世の関係でも、運命でもなくて、遺伝子なんだよね(苦笑)。事実っていうのは、イロがないよねえ~。

その事実を知ってしまってからは、西野カナの歌に出てくるみたいな、せつない感じも、「あー、その遺伝子、欲しかったのねえ」ってつい冷めて聴いちゃう(笑)。

事実って、時として知らないほうがいいこともある、ってことですな!

Text/奥谷まゆみ

初出:2014.10.10