本橋さんをホテルに誘うと…
「あのぉ、今日、もう遅いからホテルに泊まっていきませんか?」
「いいですよ」
あっさりとOKが来た! 田中、オレの方がお前より先にお前のやりたかったことをやるぞ! といった優越感を持ったが、果たして田中の妄想通りの興奮をするのだろうか。2人して黙ってエレベーターに乗り、部屋の鍵を開けた。ここでキスをするでもなく、彼女は「今からお風呂入ってきますね。イベントで汗かきましたからね」と冷静に言った。
これまで行為に至った女性はラブホテルのエレベーターの中からキスをしたりアソコを触って来たりしたものだから、この行動は新鮮だった。彼女がタオルを巻いて出てきた後、僕も風呂に入ったが、相手があまりにも冷静なため、なんとなく勃起をしてはいけないのかと思ってしまった。
とはいっても、ベッドに戻ればやることはやるわけで、彼女を全裸にした。すると彼女は恥ずかしそうに「ごめんなさいね。私、小さいんですよ。まったいらな胸でしょ?」と言った。恐らくAカップだろうその胸は確かに小さかったが僕は「そんなの何も気にしないでいいですよ。素敵ですよ」と伝えた。
そこからのセックスは、通常通りのものだった、舐めたら舐め返してくれ、体位は適宜変更し、彼女は「イイ……」「気持ちイイ」などと言い、「スイマセン、オレもイキそうですが、いいですか?」と聞いたら「イッて、アーン」と来る。そして、僕が果てたところでコンドームを見せるよう言われた。
「どうしたんですか?」
「私、男の人がどれだけの量出すのか興味あるんです。ニノミヤさんはけっこう多い方ですね。あんまりオナニーしないんですか?」
まさかの質問が来たのだが、この妙な質問により、僕にとっては「高学歴女性とのセックス」として本橋さんとのこの夜が印象に残る結果となった。この顛末を田中にしたら「羨ましいなぁ、でも、まぁ、オレはもういいや」と潔く言うのだった。
Text/中川淳一郎
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