「前戯のないセックス」は中国流?世界は広いと思ったエロ異文化体験/中川淳一郎

とにかく気の強い中国人女性の留学生がいた。僕は当時大学4年生で、彼女は大学院生で年齢は30歳だと言っていた。いつも何かに怒っているような印象があったが、台湾人とも仲良くするなど、今となって思い返せばまともな人だった。

彼女の名前は趙さん。目がクリッとしており、髪の毛は後ろで結んでいた。そしてとんでもなく胸が大きかった。声は甲高かった。彼女は留学生の住む寮で時々餃子パーティーを開催するなど、姉御肌な面もあった。だが、このときに僕はよく怒られた。

「ニノミヤ君、ひき肉足りなくなったから300グラム買ってきて!」と命令された。当時の僕はまったく料理の知識などなかったから何のひき肉を買えばいいか分からず、適当に特売の牛ひき肉を買った。

それをキッチンに持ち帰ったら趙さんは最初は「ありがとー」と言ってくれたものの、すぐに怒り始めた。

「ニノミヤ君! なんで牛肉なんて買ってくるの! 餃子作るためのひき肉といったら豚肉に決まってるでしょ、バカ! もう一度買ってきなさい!」

こちらは「なんだよ、せっかく買ってきたのに。つーか、最初から『豚のひき肉300グラム』と言えよ」と内心思ったが、中国人というか、料理をする人にとって餃子用のひき肉といえば豚肉というのは常識なのだろう。仕方ないのでもう一度スーパーに行き豚のひき肉を趙さんに渡したらこう言った。

「これ、これ。これでいいの。ありがとう」

趙さんは黒竜江省の出身で、黒酢で餃子を食べるのが好きなのだという。さすが本場の味付けは美味で、留学生8人と僕とで合わせて200個以上の餃子を食べてしまった。そんな感じの付き合いを日々していたのだが、3月、春休みに入った時に趙さんから電話があった。

「ニノミヤ君、私ね、引っ越すから手伝って」

何やら、現在の学部生・大学院生向けの寮から、もう少しグレードの高い寮に引っ越すというのだ。博士課程になったということで、家族用の寮に住めるのだという。これまでの寮と同じキャンパス内にあるのだが、かなりの距離があるため男手が必要だという。