努力や歩み寄りでは解決できないものもある
だが、努力や歩み寄りで解決できない違いというものもある。
それが「体質の違い」だ。
私は、その昔夫に「陰毛とヘソ毛が繋がっている男が好きなので、なんとか繋げてもらえないか」と言ったことがあるが、今思えば実に無神経だった。
自分だって「顔の質感を石原さとみにしてくれないか」と言われたら発狂していただろう。
そんなワケで今回のテーマは「夫婦と風呂の温度」である。
あまり意識しないかもしれないが「快適に感じる温度」というのは人それぞれであり、おそらく変えられないものである。
些細なことのように思えるが、自分が寒さで震えている時に、パートナーが部屋に入るなり「この部屋アッチーな!」と言いながら窓を全開にしたり、クーラーのリモコンを1秒間に10回連打しはじめたらイラつくし、無理に相手に合わせていたら体調を崩す恐れすらある。
このように地味にストレスの元になるのが「快適温度の差」なのである。
そして私と夫とでは、風呂の「適温」が違う。
私は42度ぐらいが適温だが、夫はそれを熱すぎるというし、夫の適温は私にはヌルイを越えて「寒い」なのである。
幸い、我々は風呂に入る時間に差があるので、お互いの適温に合わせられるが、もし風呂に一緒に入るタイプの夫婦だったら相当ストレスだったと思う。
一緒に風呂に入るのは、良いスキンシップとされているが、それでお互いイライラしていたら意味はないので、そういう場合は別々にした方が良い。
それと同じように、お互いの睡眠快適温度に差がある場合は潔く部屋を分ける、ということも推奨されている。
ちなみに我々夫婦は映画も「映画館までは一緒に行くがお互い別々の見たい映画を見る」ということもする。
どうせ同じアベンジャーズを見ても、趣味があわないのだから、夫は映像がすごかった、とか言うのに対し、私は「どうやったらトムホスパイダーマンのスマホ代払ってあげられると思う?」と言い続けるだけという「本当に同じものを見たのか」という状態になるので、最初から別のものを見ても大差ないのだ。
時には合わせることやわかり合うことを諦めて「完全に別にする」ということも大事なのである。
Text/カレー沢薫
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