ちょうどいいブスが賢い女の生き方?

「ちょうどいいブス」という考え方がこの世に存在するというだけでもゲンナリするのに、最悪なことに山﨑ケイの著書『ちょうどいいブスのススメ』は地上波でドラマ化されるというのです。そもそもツイッターでトレンド入りしていたのもこのドラマ化のニュースから話題が広がっていったようです。

平成も終わるのに、「#MeToo」だってあったのに、「ちょうどいいブスのススメ」ドラマ化。
ゲンナリを通り越して悲しくなります。私たちが声をあげることに意味はないのか? と心が折れそうになります。
でも止めないけどねー!! 女性が搾取されず楽に生きられる世の中になるまで意地でもギャンギャン言い続けてやるけどねー!!

ドラマ版は「イケてない」三人の女性に「ちょうどいいブスの神様」である山﨑ケイが「まずは自分が思っている以上に自分がブスであることを受け入れなさい!」と叱責し、三人は「ちょうどいいブス」を目指す、“生き方指南・共感ラブコメディー”だそうで。

はぁ??????

ちょっと正直「はぁ?????」としか言いようがない。
「生き方指南」として「ちょうどいいブスになれ」とか言われても大きなお世話ですとしか言いようがないし、反発しこそすれ「共感」なんて一ミリもしたくないんですが。

ていうかこの「問題を抱える女性三人」と「ある概念を提唱する神的存在」の組み合わせって、ぱぷりこさんの『妖怪男ウォッチ』コミカライズ版と同じ構図じゃないですかー! そっちドラマ化した方が絶対いいってーー!!

私は別に、山﨑ケイに「ちょうどいいブスという考え方は間違っているから改めろ」なんて言うつもりはありません。彼女自身が処世術として「ちょうどいいブス」を自分ひとりで勝手に目指すだけならどうぞ好きにしたら、と思うだけです。

しかしそれを、あたかも良いことのように「これが賢い女の生き方」と言わんばかりに提唱されると、ちょっと待てと言いたくなるのです。
容姿いじりは笑えないし、男性に女性の容姿をジャッジする権利はないという声を上げる人が少しずつ増えてきているとはいえ、まだまだ世の中は男性優位で、息をするように女性差別をする人が多くいます。

そんな世の中で「ちょうどいいブス」のようなものが持ち上げられたら、「やっぱり男性にとって都合よく生きるのが女性の処世術なんだな」と思ってしまう女性や、ルッキズムの呪いに傷つけられる女性が出てくるかもしれません。

あと何より面倒くさいのが「“ちょうどいいブス”を目指せる女って分かってるよな」「“ちょうどいいブスを目指せ”って他でもない女が言ってるんだから」というクソみたいな言い訳をクソみたいな男に与えてしまう可能性があります。ていうか既に鬼の首でもとったみたいこういうこと言ってるやつ、山ほどいると思うけど。