女性が1歳上なだけで恋愛も結婚も対象外?少女漫画で読み解く「年下男子解禁」の歴史

「年上女」は恋敵にすらなれなかった

少女漫画を読んで恋愛について考える女子の画像

 恋愛の形ってブームがあるんですよね。
人が人を好きになるのがピュアな感情だとしたら、それは普遍的であってもおかしくないと思うんだけど、けっこう時代に左右されてます。

 和久井の専門は少女マンガなので、それをメインに見てみますね。

 70年代は男女雇用機会均等法もまだ、セクハラなんて言葉すらなかった時代で、女が稼ぐなんて遠い夢のようなお話でした。男尊女卑が徹底されていた時代は、年上男×年下女の恋愛が常識です。

 『ベルサイユのばら』のオスカルさまの下僕アンドレでさえ年上です。
『いつもポケットにショパン』では、主人公の好きな男子(きしんちゃん)が女性と一緒にいるところを見かけてヤキモチを焼きますが、彼女がひとつ年上だとわかっただけで「ライバルではない」と判断して安堵するシーンがあります。意味わかりません。
80年代中頃まで、男が年下というだけで恋の障害になったり、そもそも恋愛対象にならなかった時代なんですね。

 80年代後半になると、バブルもいよいよ末期。おっさんたちが札束ふりかざしてブイブイ言ってた時代です。世の中は絶賛不倫ブームでした。金持ってるおっさんが、若くて粋がってる女を引っかけてました。

 当時は「女性の性の解放」みたいなことが言われてましたが、女の性欲とか萌えがいったいどういうものなのかがよくわかってなくて、男性のものと同一視されていたっぽい。いやそれ、ぜんぜん無理だから。

 90年代になってバブルがはじけ、年下男が解禁になりました。
西村しのぶさんの作品はとても象徴的です。80年代に連載していた『サード・ガール』は女子高生夜梨子とサラリーマン涼のプラトニック恋愛ストーリーです。そして涼には妻がいます。ところが連載が90年代に入ると、夜梨子は年下男子和臣と付き合うようになります。

 西村しのぶさんは、90年代に男子高生×20代女子や、男子大学生×女性経営者の恋愛模様をたいそうファッショナブルに描いて一時代を築いた作家さんです。女に財力があったら、男にそれを求めなくてもいいんですね。もはや年齢は恋の障害になりません。