パートナーに宣言はすべきかどうか
買ってもらって以来、私は毎日1日も欠かさずウオーキングを続けている。
屁でフォバー移動する訓練よりは、歩く方が楽、というのもあるが、買ってもらった手前投げ出せないというのもある。
4万もした上に、このマシーンは到着時、玄関で使用を断念しそうになるほどでかいのだ。
逆の立場で考えて、これを買ってあげてすぐ放置され、居住スペースを食うだけのオブジェと化しているのを見たら、怒りしか湧いてこないと思う。
このように、好奇心旺盛で、チャレンジ精神があるのは良いが、生活を共にする相手がいる場合は注意が必要なのだ。
よって、何かブームや目標が出来たとしても、それをすぐパートナーに宣言してしまうのは止めた方がいいかもしれない。
「ダイエットをする」と宣言されてしまったら、言われた方もそいつとランチに行く時は吉牛などではなく恵比寿とかにありそうな「サラダ専門店」など、田舎では牛しか行かなそうな店をチョイスするなど、気を使わなければいけなくなってしまうのだ。
特に夫婦とかだったら、片方が何かに挑戦すると宣言したら自動的にパートナーは「協力すべきもの」とされてしまい、目の前でピザポテトを食うなどしたら「何故ダイエットをしている私の前でそのようなことができるのか」などと「非協力」を咎められてしまったりする場合さえある。
だが、挑戦というのは「筋肉夫婦としてインスタデビュー」という、夫婦共通の目的があってのことなら、お互い協力し合う必要があるが、どちらか片方が勝手に決めた目標にもう片方が協力しなければいけない、ということはないのだ。
ならば、いちいちパートナーに「海賊王に俺はなる」的な宣言をする必要すらないのではないか。
宣言されたら相手も「俺はゾロをやればいいのか?」など考えざるを得なくなってしまうし、逆に「勝手にしやがれ」と壁際で寝がえりをうったことを「非協力」と詰められてもたまらない。
それに、宣言しなければ挫折した時も恥ずかしくないというメリットがある、人知れず抱いた夢が人知れず潰えただけで済む。 また、挫折したことを指摘されGF(ゴリラフェイス)になり家の雰囲気が悪くなる、ということもないのだ。
夫婦で、目標やブームを共有できるのは素敵なことだが、自分が罹った流行り病にはパートナーも罹らなければいけない、などということはないのだ。
私が気づかないだけで夫も人知れず、ドウェイン・ジョンソンみたいになろうとしては諦めるというようなことを繰り返しているのかもしれない。
そうだったとしてもそれに私が巻き込まれて迷惑したなどということはないので、己のブームや目的というのはこのぐらいステルスでちょうどいいのである。
Text/カレー沢薫
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