カレー沢家の鉄板ジョーク
正直何を聞かれても「そんなこと話す気分じゃない」と答えたいところだし、そもそも夫婦だけの遊びってなんだ。セックスの隠語か。
だったらもうセックス、セックスでいいです。と思ったが、担当の出して来た例は「夫婦で森の住人という設定で生活してる」というものだった。かなりセックスから遠い。
つまり夫婦間だけでやっている遊び、ギャグについて語れということらしいが、私たち夫婦は日々を真顔で過ごしている。突然森の住人として暮らせといわれても、二人とも「そんなこと恥ずかしくてできない」というタイプだし、やらせても二人ともお笑い筋肉が弱いので、おもしろい行動とかとれない。
それに私から見て夫はエンタメ的な意味でおもしろい人間ではない。でもおもしろい必要もないと思っている。毎日働いて、家のこともして、さらに「私を楽しませろ」などと、蛮族の酋長みたいなことを言うのは酷である。
もちろん、パートナーにおもしろさを求める人もいる。夫は多重債務者だが、それをネタにしたコントがとてもおもしろいので許せるというなら、それでいい。
ただ、我々とて全く冗談を言わないわけではない。そこで私たちの鉄板ジョークを紹介しよう。
私は平素家の二階にいることが多く、夫は1階にいることが多い。
たまに私が二階から降りてくると、夫は「俺の肩を揉みにきてくれたのかな?」ときく。
私はそれに対し「そんなわけないじゃん」と返す。
以上だ。
つまらない。こんなことを書いて金をもらって良いのか迷うレベルだ。
夫婦の遊び、冗談というのは総じてつまらないものであり、逆にそれを飽くことなく続けられるのが夫婦なのかもしれない。
Text/カレー沢薫
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※2017年1月27日に「TOFUFU」で掲載しました
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