タラレバ病がスピリチュアル病を引き起こす

 タラレバ病とスピリチュアル病は、アラサー女子のかかりやすい二大疾患。
「結婚できないと不幸になって地獄に堕ちる」と強迫観念に苦しむタラレバ病が、スピリチュアル病を引き起こすのだろう。

 かくいう私も20代後半、いくつか占いに行った時期があった。恋愛も人生もうまくいかず「もうイヤだ!誰か正解をくれ!」と切羽詰っていたから。

 でも夫と結婚を決めた時は、占いに行こうという考えすら浮かばなかった。
赤の他人に「この人でいいんでしょうか?」と聞かなくても、「先のことはわからないが、この人となら幸せになれるだろう」と己の決断を信じられたから。

 一方、夫は一貫してスピリチュアルとは没交渉な人間だ。それには母親の影響もあるのだろう。

 義母は女手ひとつで商売をしてきたのだが「占い師のアドバイスに従い、店を引っ越しして大失敗の大赤字」といった逸話が数々あるらしい。
にもかかわらず、いまだに「私が毎年京都のお寺にお参りに行ったから息子が結婚できた説」を唱えている。

 結婚前、夫から「義母に誕生日を聞かれても教えないように」と言われた。理由を聞くと「あの母親は絶対占いにいくから」。

 その後、義母から「アルちゃん、誕生日はいつ?プレゼントあげたいから」と言われて「ごめんなさい、占いに行くから教えちゃダメと言われたんです」と正直に答えたら「チッ、先回りされたか…」と悔しそうに呟いていた。

 もし占いで「相性最悪、結婚したら地獄に堕ちる」と言われても、我々は一切気にせず結婚しただろう。そのへんの価値観が合っていることも、長続きの秘訣かもしれない。

 このまま離婚せずに結婚50年目を迎えたら、金婚式を挙げてみようかな、とふと思いついた。その前に葬式を挙げているかもしれないので、生存していればの話だが。

 そこで夫に「金婚式をするなら、エイリアンとプレデターのコスプレで相撲をとるのはどうだ?」と提案したところ、「あのコスプレは難易度が高いから、野坂昭如と大島渚のコスプレで、マイクで殴り合うのはどうだ」と返された。
その方が年齢的にはしっくりくるが、絵的に地味すぎる。

 そういえば、私は昔から京劇の衣装とメイクに憧れがあった。あのコスプレで剣で斬り合ってみるのもよさそうだ。
その際は「陰茎、覚悟!」「おのれ謀ったな、陰核!」など、それっぽいシナリオを書きたいと思う。

Text/アルテイシア
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