アナルガバ夫にとっての地雷

100年の恋も冷める地雷は「○○ってる男」と「××××言う女」/59番目のマリアージュ

 それでは、夫にとっての地雷は何か?

 夫は大抵のことは受け入れるアナルガバ夫で、「こういうのはやめろ」等と言われたことは一度もない。

 エロ系も基本、オールOKだ。美少年がムチャクチャされるBLのCDをリビングで聞いていた時は「ヘッドフォンで聞いてくれないか?」と言われたが、BLやAVを食卓に並べていても何も言わない。

 BLやAVどころか、私はエログッズもそこらに放置している。というのもセックスコラムを書いている仕事柄、サンプルをよくいただくのだが、それらはツボ押しなどの健康グッズとして使えるのだ。TENGAのVI-BOシリーズは特に優秀で、テレビを観ながら肩や首のコリをほぐしている。

 自分で買ったものも含めて、エログッズがかなり増えてきたので、引っ越しの際に断捨離した。

 その時は『人生がときめく片づけの魔法』のこんまり流を採用して、床に並べたバイブを1本ずつ握って「これはときめく…のか?」とやっていたら、夫に「キミは何をしているんだ?」ともっともな質問をされた。

 ちなみに夫もスピリチュアル系は苦手だが、「邪気をはらうためにアナルに盛り塩をさせてくれ」等と強要されなければOKらしい。

 そんな夫にとって「これは無理」という地雷は…?と考えると「やいやい言う女」だろう。

「やいやい言う」とは関西弁で「ゴチャゴチャうるさく言う」という意味だ。そしてやいやい言う代表格は関西のオカンであり、つまりうちの義母殿である。

 義母はつねに息子に向かって「部屋を片付けなさい」「開けたら閉めなさい」「洗濯もん出しなさい」「靴下片っぽ無いやないの」「ちゃんとボタンとめなさい」「ちゃんとヒゲ剃りなさい」「炭酸ばっかり飲みなさんな」「体にええんやから薬やと思て食べなさい」とやいやいやいやい言っている。

 私は他人の親だから気にならないが、これがもし自分の親だったら「ゴチャゴチャうるせえ!!」と発狂するだろう。

 夫は「ポンチさんが細かいことをやいやい言わないタイプでよかった」と言っているが、それは私もやいやい言われるのが苦手だから。そして何より、私自身が超テキトーで大ざっぱな性格だからだ。

 酔っ払って帰ると、私はメイクも落とさずシャワーも浴びず、服をそのへんに脱ぎ散らかして全裸で寝る。一度、服を脱ぎ散らかしてる最中に力尽き、裸に黒タイツという江頭スタイルで廊下でスヤスヤと眠っていた。その時は夫が「風邪引くよ」とベッドまで抱えていってくれた。

 つまり自分が誰よりもちゃんとしていないので、他人にちゃんとしろなんて言えないのだ。

 担当アサシン嬢も「私が酔い潰れてると、夫はそばにゲロ袋を置いてくれます。私も夫が二日酔いで吐いてると、トイレに水を持っていきます。WIN-WINです」と言っていた。そんなふうにゲロも受け入れ合うのが家族だろう。

 そこで「なんでそんなバカみたいに飲むんだ」と小言を言われたら、「汚物は消毒だ~!!」とゲロを噴射したくなる。