女性には美しさを求めるのに
私たちは常日頃、TVで女芸人さんたちが虐げられ、独身であることをイジられ、イケメン俳優に色めき立ってそれを嘲笑されるのを目撃させられています。
TVでは恵まれたルックスを持たない、ということは敗北とみなされ攻撃してもいいことになっているみたいです。
こういった風潮に対して、やっと「ふざけんなよ」と私たちが声を上げられるようになったのは、ほんのここ数年の話だと思います。私が子供の頃やティーンエイジャーの頃は、女性を貶める表現はあらゆるジャンルでもっと露骨だった。
長年、「そういうもの」として受け流されてきた女性に対するセクハラやパワハラが、やっと「しちゃいけないこと」と認められてきているんです。本当にやっと、「そういうの、笑えない」という空気が少しずつ伝わるようになったのです。
それなのに、TVでは石原さとみと峯田和伸が当たり前にキスしてる。逆はありえないのに。この非対称さよ。
そう、だから、私にはショックだったんだと思います。
あの、この世のものとは思えない美貌のさとみが、自分から、うっとりした顔で、お★ん★んにキスをした! それだけでもまぁまぁ傷ついてるのに、翌日には人々が「さとみ色っぽい〜」「峯田羨ましい〜」とか好意的に騒いでいるのをスマホいじってるだけで目にしちゃう。
その非対称さを、まだまだ私たちは受け入れないといけない。なぜなら、女だから。ふざけんなよ。
私は40過ぎたババアのダラ嫁だけど野村周平と付き合いたい。菅田将暉とキスしたい。そしてそういう望みをバンバン言える世界にしたい。
いつかそういうのを「セクハラだよ」って咎められて、「えー悪気はないのにぃ、男ならそういうの、軽く流せるようになんないとぉ」って笑ってごまかして男の子たちからめちゃくちゃ嫌われるような世界にしたい。
きっとそれまでは、またどちらかがどちらかを搾取しているように見えないカップルを見つけて、「お似合いじゃん」と胸をなでおろす日々が続くんだろうなー。やれやれ。
Text/ティナ助
次回は<「僕より先に死んでくれた」夫より先に死ぬということ>です。
俳優・津川雅彦さんが逝去。朝丘雪路さんとのおしどり夫婦ぶりも彼のチャーミングな点のひとつでした。アラフィフに突入しようとするティナさんがお嬢様学校時代にあこがれた彼が、先に逝った妻に対して発した言葉の意味をあらためて感じます。