比較対象や後ろ暗さで判断の目を曇らせないで

次に、Bさんについて。相談文には「強面、刺青あり」と書かれていますが、おそらく今回の相談の根幹には関係のない部分だと捉えました。
あなたはBさんのことを「愛情を示してくれて安心する」「誠実で芯が通っている」と形容しています。
どういった部分からそう感じ取ったのかは書かれていないのでわかりませんが、Aさんという比較対象がいることで余計にそう思うのかもしれませんね。
ただ、付き合って間もないのに「Bさんはとってもいい人」と判断を下すのは時期尚早ではないでしょうか。
2人のお子さんが何歳かはわかりませんが、わたしがあなたの立場だったらシングルマザーの自分に「1年後には結婚したい」だなんて、ずいぶん簡単に言ってのけてくれるな、と。

また、妊娠についてもそう。あなたが3回の中絶をしていることを差し置いても、40歳という年齢は妊娠において様々なリスクと隣り合わせです。
もしかしたら妊娠自体が難しいかもしれませんし、妊娠したとしても胎児に障害がある可能性や産後の回復力の低下などは、決して無視できるものではないはずです。
もちろん、妊娠や出産は個体差がありますし、年齢だけでなく持病や体質、体格なども関係します。高齢出産だからといって、妊娠できない・安全に出産できないと決まっているわけではありません。
ですが、あなたが20歳のとき、30歳のときと比較して高くなっているリスクは現実問題として受け止めなくてはいけませんし、それを想像できていない人、その話し合いができていない人との結婚や出産は、わたしだったらとてもじゃないけれど考えられません。

おそらくBさんは、あなたがAさんと付き合っていること、またAさんとの間に妊娠を3回、中絶を3回経験していることは知らないのでしょう。
罪の意識に苛まれてわざわざ伝える必要はないとは思います。ですが、「バレなきゃいい」という安易な思考で、何も知らないからこそ自分に対して誠実な振る舞いをしてくれるBさんと一緒にい続けることは、かなりのしんどさが伴うのではないでしょうか。
「別に大丈夫」「罪悪感とか全くない」「一生隠し通せる自信がある」という考えを持っているのなら何も言うことはありませんが、複数の人間を同じだけ好きになるなんてそんな器用な芸当があなたにできるとは思えません。
同時進行をしている状態で、比較対象が最悪な男であればあるほどもう一方の彼を見極める目は曇りますし、後ろ暗い思いを抱えたままでは相手に対して正しいジャッジができないということは、頭に入れておいてほしいと思います。

目先の楽しさで自分の心と体をぞんざいにしないで

相談文の「決めきれていない自分もいる」という言葉は、AさんとBさん、どちらと付き合い続けるか、と意味として捉えたのですが……そもそも、どうしてどちらかを選ばなくてはいけないのでしょうか? どちらも選ばなくていい、という選択肢もあっていいはずです。

Aさんとなかなか離れられないこと、そこまで好きじゃないのにBさんが選択肢に上がっていること、決めあぐねて2人の男性と同時進行でお付き合いしていることから、あなたは恋人やパートナーがいない状態をあまり楽しめない人なのかな、と感じたのですがいかがでしょうか。
もちろん、子供がいるからといって恋愛してはいけないわけではありませんし、母としてだけでなく一人の女性としての自分も大事にしたいという気持ちは尊重されていい。
シングルマザーとして子供を2人育てることはとても大変でしょうし、仕事に育児に家事にと一人きりで頑張ってきたあなたを、わたしはとても立派だと思います。
まだまだシングルマザーに対する世間の風当たりも強く、男性に比べて女性の平均収入が低いなどの問題もありますから、これまでいろいろな苦労もあったのだろうと想像します。
長く一人きりで子育てをしてきたら、時には誰かに頼りたくなる瞬間もあるかもしれませんね。

Aさんと離れたほうがいいのは言わずもがなですが、じゃあその代わりBさんと……となるのは少々危険ではないでしょうか。
Aさんからの愛情を感じられない現状をつらく思っているのに、あなたはBさんに対して同じことをしてしまっている事実から目を背けてはいけません。
シングルマザーが恋愛することの大変さ、一人きりで子育てする孤独さを盾にされてしまうと経験していないわたしにはもう何も言えないのですが……。

でも、シングルマザーかどうかは別として、根底に「とても素敵な人で大好きだから一緒にいたい」という考えがある恋愛と、「一人きりでいるのはさみしいから、とりあえず誰かと付き合っていたい」というその瞬間の渇きを誤魔化す恋愛とでは、大きな違いがあると思います。
それは、付き合っている相手に対してどこまで誠実でいられるか、自分と相手をどれだけ大事にできるか、目先の喜びだけでなく長期的な目線で物事を冷静に判断できるか、という部分です。
どうか、その視点で現状を見つめ直してほしいと思います。自分自身をきちんと大事にするために、目先の楽しさに注目したり一瞬のつらさを軽減するためではなく、長い目で見たときにあなた自身が幸せになれそうだと思える決断をしてください。
自分が他人から受けている扱い、自分の他人に対する扱いは互いにとって健全であるかどうかを冷静に見極めることが、その決断の一端を担うはずです

Text/ものすごい愛
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