今回のテーマは「夫婦が集中する時」だ。
私の夫はすでに二人でやるより「俺一人でやった方が早いし上手い」というたった一つの真実に到達済みなので「両端を持たないと運べないテーブルをどかす」とか以外で夫婦共同作業をすることがほとんどない。
なぜ私が参加した方が効率が悪くなるかというと、まず料理を命じた数分後に家が全焼しているレベルの不器用だから、というのもある。
そしてもう一つは絶望的に「集中力」がない、というのがある。
集中力がないため、掃除をしようと思っても「棚を整理するために一度棚の物を全部床にぶちまける」の段階で集中力が切れてどこかへ行ってしまうため、掃除をする前よりもかえって汚れてしまうのだ。
よって私と一緒に掃除をしたところで、少し目を離した隙に「さらに汚れた部屋を残して汚した本人は消えている」という状態になるだけなのだ。
こんな状況を見れば、平素温厚な人間でも我を忘れて部屋中の窓ガラスを破壊してしまう恐れがあり、さらに部屋は荒れてしまう。
おまけに典型的指示待ち人間なため、すぐに忙しく働いている相手を棒立ちで見つめはするが自分からは絶対「何かすることある?」とは聞いて来ることはない木偶の棒と化すため相手も「今すぐ俺の視界から消えろ」以外の指示を出したくなくなるのである。
そんなわけで、夫が何かやっているときは「存在を消す」以外手伝えることはないので、夫の仕事ぶりを見ることもあまりな良いのだが、確実に私より集中力があり、要領も良いと思われる。
そんな夫が最近「釣り」を始めたらしい。
当初は、テグスが私の自画像のごとくアフロ状になって捨てられていたので、何事かと聞くと「絡まってムカついたから捨てた」という。
とてもこれから釣りを始めようしているとは思えない短気さを見せつけた夫であるが、それだけブチキレたにも関わらず釣りは開始したようだ。
その後、買ったばかりのルアーに糸をつけずに池に投げ捨てたり、いまだに「釣れた」という報告が1回もなかったりするのだが、時間を見つけては釣りに行っているようである。
私であれば遅くとも池にルアーを寄付した時点で投げ出していると思うので、やはり夫は辛抱強い方だと思う。
第一辛抱強くなかったら、私とはもう離婚しているだろうしこの連載も「作者離婚のため」という理由で終わっている。
それにしても趣味の選択肢として「釣り」が出て来るところがまずすごい。
おそらく「釣り」というのは、私のようになくした集中力を探すだけで人生が終わるタイプの人間が絶対選択しない趣味第2位である、ちなみに1位は電撃イライラ棒だ。
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