汚い体制が弱い人間は優秀
実際夫も家では私がアマゾソパントリーした商品に無駄に入っている謎の梱包材の空気抜き係に甘んじているが、一歩外にでれば社会的地位も人望も遥かに上なのである。
先日も選挙の際夫は「選挙に行くと必ず知り合いに会う」と言っていたが私は「知り合い」の母数が3ぐらいしかないのでまず会わないし、「万が一知り合いに会ったらどうしよう」と逆に怯えている。
つまり、汚い耐性が弱く生まれてきた者は人間としては優秀なのだ。
しかしそういう人間ほど、汚い耐性が著しく強いハイエナに捕食されやすいという特徴もある。
私含む耐性が強い奴らは足元で動物が腐っていても気づかないほど汚さや悪臭に対しては鈍いが、耐性が弱い人間を嗅ぎ分ける嗅覚だけはやたら強いのである。
汚い耐性が弱い人間は、家が散らかっているが我慢できず、自主的にパートナーの分まで片づけてしまうため、強い人間はやってもらえる上に「俺が命令したわけではく、相手が自発的に行っていること」という言い逃れをすることもできるのである。
そんなわけで長らく変わっていなかった我が家のモーニングルーティンだが、最近私がウマ娘にはまり、仕事が滞るようになったせいで、就寝時間が遅くなり、朝寝過ごし起きた時には夫はもう朝食まで済ませているということが増えてきた。
さすがにこれは良くないと思っていたのだが、最近あることに気づいた。
「寝過ごした」と言っても私の起床は「6時40分」とかだったりするのである、つまり私が寝過ごしているというより、相手の起床時間がさらにスピードアップし、ついて行けなくなっているという可能性の方が高い。
汚い耐性が弱い人間と結婚すると、何も言わなくても自主的にいろいろやってくれて利点は多い。
しかし、それと対比され、例え普通にやっている人間でも「だらしない人間」や「相手に家事負担を強いている人間」に見えたり見られたりする、という欠点もある。
Text/カレー沢薫
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