「これ超いいぜ、お前もやれよ」

夫も、よくツタヤではなくゲオで『GOEMON』とか借りて見ているので、アマプラが見られたら相当捗るはずである。

よって、アマプラをテレビで見られるように接続し「これでデビルマン以外の何かが見放題

だぞ」と夫に説明した。

そして今、夫は未だにゲオで『GOEMON』とかを借りている。

おそらく『GOEMON』以外も見ているとは思うが、彼が3回ぐらい『GOEMON』を見ているのは確かであり、夫が借りてくるのは「それアマプラで見れるぜ」というものが多い。

おそらく、夫も「これ超いいぜ、お前もやれよ」というつもりでアップルミュージックの話をしているのだと思う。

だがお互いそれをガン無視したまま今に至るのだ。

思えば、出会ってから今まで、お互い相手の勧めるものを全てシカトし続けている気がする。

だからと言ってそれで揉めるわけでもない。

おそらくこれは相手の勧める物に興味がないというより「お互い、相手の話を聞いていない」可能性がある。

実際「俺は、あなたの話はあまり聞かなくていいかなと思っている」と言われたことがあるので、可能性ですらなく、マジで聞いていないのだ。

そこで憤慨するほど自分の話を夫に聞いてもらいたいかというと、そうでもない、そもそも私も夫の話を全然聞いていないのだ。

相手が自分の話を聞いてくれない、意志疎通ができないというのは、大きなストレスとなり、これと言った明確な理由がなくても、それが別れる理由になったりするそうだ。

しかし、それは片方だけが意志疎通したいと思っている時だけである。

ご結婚の際は「お互い相手の話を全然聞いていない」という場合は意外と揉めない、ということも参考にしていただければと思う。

Text/カレー沢薫

夫婦コラムのはずの本連載が、土方歳三への愛を綴った廃人日記として書籍化されました。

愛に生き愛に死ぬカレー沢さんのガチャ爆死録は必見です!