お互いのオススメをガン無視する夫婦「夫婦で使うサブスクサービス」/カレー沢薫

今回のテーマは「夫婦で共通で使うサブスクサービス」である。

夫はアップルミュージックのサブスクに入っているらしく月額1000円程度で割と新しい曲まで落とし放題だそうだ。

というような話を私はすでに5兆回ほど夫から聞いている。

5兆回は言い過ぎたかもしれないが、私と夫が会話するのは5兆年に1回ぐらいなので、実質5兆回である。

ちなみに、話す時、やたらデカい桁を使いたがるのがオタクの特徴だそうだ。

ともかく、もう何回も聞いているのだが、私もあまりにも夫との話題がないため「それ前にも聞いたよ」とは言わずに毎回「へえ、それはお得だね」と5兆回同じリアクションをしており、完全にサビの効いたジジイとババアの会話になってしまっている

しかし、なぜ同じ5兆回同じやり取りが繰り返されるのかと言うと、私がどれだけ言われてもそのアップルミュージックを自分で使おうとはしないからである。

片や私が使っているサブスクはアマゾンプライムだ。

別に入るつもりはなかったのだが、知らない内に入っていた。

ちなみにこういう人間が言う「知らない内に」というのは「規約をろくに読まずに『はい』を押し続けていたら」という意味である。

知らない内に入っていたのだが、ひきこもりとアマゾンと言うのは基本的に癒着しており、我々の中でアマゾンプライム費は「会費」ではなく「献金」にカテゴライズされる。

こんな僻地にミートソース5パックを注文翌日に届けてくれるのだから月額500円ぐらい安いものである。

そしてアマプラの良いところは、パスタや粉各種がすぐ届くところだけではなく、映画や音楽のサブスクがついており、膨大な量の映画やドラマ、アニメが視聴できるという点である。

このようなサブスク類が生まれたおかげで「無職になったはいいが意外とやることがない」という理由で社会復帰する人間が2京%ほど減ったと思われる。

もはや「仕事辞めてもやることないよ?」などという言葉は説得どころかスマホで一生懸命火を起こそうとしている原始人と思われるだけになりつつある

さすがにアマプラでは最新作を視聴することは無理だが、むしろ中年としてはそれがありがたい。

Official髭男dismで乱れた中年の脳波が00年代JPOPメドレーのイントロを聞いた瞬間安定した、という実験はあまりにも有名だ。

ただ先日500円中499円分の価値を占めていた「映画デビルマン」が見放題からはずれてしまったことだけはいただけない。

もはや見放題に復活させろとは言わない、逆にいくら払えば見せてくれるのかを教えてほしい。