DA PUMPのISSAが来るのか…?

我々がホテルに着いてから、20分ほどでインターホンが鳴りました。その瞬間まで「絶対にやだ!」「マジで帰りたい!」と文句を垂れていた私ですが、とうとう腹をくくりまして静かに髪もくくりました。これまで男から数々の嘘をつかれ、疲れ果てた私をどうか癒してくれニセISSA!

「あっ、こんばんは〜」

人の良さそうな声と私の頭の中で入場曲として流していた『U.S.A』と共に部屋へ入ってきた男は全くISSAに似ていませんでした。みなさんスリムクラブって芸人を覚えていますか? 片方がフランケンみたいな奴でもう片方がたまごっちみたいなコンビ。あのたまごっちみたいな方がやって来ました。準備万端の女2人でISSAを待っていたら、スリムクラブの内間さんがやってきたのです。ほらね、やっぱり男って嘘ばっかり。

大変失礼な話ですが、この時点でネタになるぐらい面白いなと踏んだ私は、そそくさとホテルの部屋を出ました。女友達がその後、内間さんとどうなったのかは知りません。できれば聞きたくもありません。

情報量が多すぎて、このコラムの冒頭の話をみなさんもうお忘れかと思いますが、元を辿れば私がシコい顔の男にうつつを抜かしたのがきっかけです。しかし、このシコい男と過ごした期間はたった2ヶ月ほどだったので、私が本当は銭ゲバクソ女だということも、カレーには米ではなくマカロニサラダをぶち込む女だということも、友人の間では大遅刻ポケモンとして認識されているということも、寝起き1時間以内の声が竹原ピストルそっくりだということも、父親の顔が竹原ピストルそっくりだということも、なにも知られずに終われました。少しでも好みに近づきたくて髪を切れずにいたことも、クリスマスの約束なんてしていないのに、他の男からの誘いをすべて断ってしまったということも、あなたが想像するよりもきっと、ほんの少しだけ多く、なぜか私はあなたのことを大事に想ってしまっていたということも、今ではただ心から今後の活躍を願っているということも。何もかも知られずに終われました。多分、彼の中では“不眠症のよく喋るちょっと優しい女”という印象で終わっていると思います。本当の私のことは全然知りません。私も私で嘘ばっかりですね。お互い様のナイスワンナイトラフでした!

つづく……

Text/妹尾ユウカ

初出:2020.12.24