「俺の価値観」は恋によって変わるもの

というのも、「価値観の違い」を埋め切れずに、結局、別れた後、新しくできた彼女にすっかり彼がハマり、「貯金のために週末はダブルワーク」といっていたことなど、すっかり忘れたかのように、週末はカップルで一緒に過ごすマンになるってことも、まったく珍しくない。ようするに俺の価値観なんてものは、恋の前では、脆く儚いもの

だったら、なぜ彼は、わたしの価値観を優先させてくれないのだろう……という問いは、結局のところ「そこまで恋されていないから」という絶望深い結論に達してしまうので、それを避けて「彼はこだわりが強い人だから」ということにしておくのが心のためには安全なのだろう。でも、消えることがないモヤモヤを抱えて「面倒くさい女にはなりたくない、でも、もっと大事にしてほしいし優先してほしい」と悶えていた経験は確かにわたしにもあります。

どちらにしても彼と一緒に週末を過ごせないのならば、モヤモヤと鬱屈を抱えるよりもさっさと別れてしまったほうが、いっそすっきりするのでは、と思うのは、わたしがいま、恋に心を引き裂かれていないから言えることなのだけど、誰にでもいつかそんなときは来る。だからこそ、その会えない週末のひとりの時間は、これでもかというほど、充実させたほうがよいと思うのです。彼と別れたそのときに、「彼と付き合っていたあの時間は、人生の無駄だった」と悔やまずに済むように。

Text/大泉りか

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