魔性の女。
そう聞いてまず思い浮かぶのは『ルパン三世』の峰不二子。スタイル抜群の美女である。とはいえ、峰不二子に男性たちが骨抜きにされるのはすごくわかりやすくもあると思う。見るからに男を虜にしそうな女が、男を虜にしているだけだ。
日常生活の中では、峰不二子との出会いはそうそうない。けれど、見た目が普通でも、なぜか彼氏が途切れず、彼女に好意を持つ男性が常に周りに複数いて、付き合い始めると彼氏に死ぬほど大事にされる女の子はいる。
今回は「あの子なら大丈夫」なんてちょっと意地悪な気持ちで呼ばれた合コンで、すべてを掻っ攫っていくような、『峰不二子じゃない魔性の女』について書いていきたい。
嵐のUちゃん
大学の同級生だったUちゃんは、見た目はいたって普通の女の子だった。モテ髪・モテメイクとは無縁の、化粧気のない顔とカジュアルなファッション。入学当初に付き合っていた彼氏とはすぐに破局して、そこからは同期や学部の先輩、サークルで知り合った他大学生、バイト先の社員や後輩と、とにかく男をとっかえひっかえだった。
そんな Uちゃんは大人しい見た目とは裏腹に、けっこう変わった性格だった。大学の授業はサボりがちで、出席カードは友人まかせ。女友達に拒絶されると、今度は男友達に頼んだ。その男友達の都合がつかなくなると、「悪いけど出席カードお願い!」と、ほとんど話したことのなかったわたしにまで提出を頼んできた。
彼女のすごいところは、お願いを断られるとキレるところだ。わりと勝手なお願いをして「また? 自分で書きなよ」なんて断られようものなら、「はぁ? あんたは授業出るんでしょ、なら1枚カード出すだけじゃん! ケチ!」と言い放てる強さがあった。
かと思えば、翌日ケロッとした顔で「昨日はごめんね~そういえばあのドラマ見た?」と普通に話しかけられるメンタル。
ここまで書いて、「 Uちゃんめちゃくちゃだな……」と思ったが、こんなのはまだ序の口で、まぁ本当にめちゃくちゃな子だった。エピソードには事欠かず「え、普通そんなことする?」とドン引く出来事もままあった。だから彼女を嫌う子も多く、わたしもお近づきにはなりたくなかったのだけれど、Uちゃんは男女の屍を積み重ねつつ、最後までモテ続けながら卒業していったのだった。
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