男の教科書はポルノ、女の教科書は恋愛映画?
ジョンにとってMacの起動音はポルノを見始める合図。“ドーーーン”という音は彼のリビドーを意味する。
冒頭、軽快なナレーションとカットの連続で映し出されるジョンのポルノ・ライフ描写に笑いが止まらない。だけど、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの描き方はどこか愛おしい。彼の行動に多くの男性は「そうだよね〜、なるよね〜」と同調するだろう。
男にとってセックスの教科書はポルノ。それは一つの真実。男性の悲しき性でもあるのだ。
一方、バーバラが恋愛映画から影響を受けているように、映画や少女マンガを恋愛のお手本にしている人も多いのでは?
やがて男女の恋愛が発展した先に、お互いの理想にお互いが「それはあり得ない」と口を揃えてしまう。この現実こそが、本作のテーマなのだ。これは初監督作品とは思えない観察力。
ポルノと恋愛映画を題材にして、メディアが男女の理想を作り出している事を、分かりやすく描いているのだ。
二人の女性から見えてくる理想の恋愛、理想のセックス
ポルノ・ライフに明け暮れるジョンに訪れる転機を、二人の女性が作り出す。
セックスだけが目的のジョンにとって、恋愛映画好きの美女バーバラと、恋愛対象にかすりもしないエスター。実はそのエスターは大きな悲しみを抱えて生きていて、日々現実と対峙していたのだ。
恋に恋するバーバラと、現実と向き合うエスターという二人の対比になっている。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットは、男女の関係でお互いを性的な「モノ」として見ていることに気づいたという。人はポルノや恋愛映画をはじめとするすべてのメディアから影響を受けて、相手を自分の理想に当てはめ、こういう人間だと決めつけてしまう。実際の現実は、もっと微妙なものなのに。
バーバラとエスター二人の違いから垣間見える、彼が描きたかった理想の恋愛と理想のセックスを、ぜひその目で確かめて。