大きな幸せを渇望する夫婦は、パリへ移住する夢と希望を抱くが…… 『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』
次に紹介するのは、2009年公開のサム・メンデス監督の『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』。
『タイタニック』のレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが11年ぶりに共演を果たし、まさかの夫婦役です。
ストーリー
1950年代半ば、フランク(レオナルド・ディカプリオ)とエイプリル(ケイト・ウィンスレット)の夫婦は二人の子どもに恵まれ、アメリカの郊外の街で平穏に暮らしていた。
やがて二人はそれぞれの夢の実現を目指し、パリへの移住を目論むが……。
『タイタニック』なんてウソっぱち? 今回、沈むのは船じゃない
ディカプリオとケイト・ウィンスレット。この二人からは誰もが『タイタニック』を思い浮かべるでしょう。あの超大作で永遠の愛を誓った二人。しかし、本作では恐ろしい剣幕で怒鳴り合っている。
今回、亀裂が入るのは豪華客船ではなくて夫婦の絆なのです。
誰もが追い求める“幸せ”の先に待ち構えているものとは、一体何なのか。過去にたくさん描かれてきた、アメリカの“ホームドラマ”の狂気の部分を切り取ります。
「レボリューショナリー・ロード」とは閑静な住宅街の名称。そこで夫婦は誰もが夢見る理想の結婚生活を送っているにも関わらず、さらに理想を夢見たことで、日常は残酷な物語に変貌する。
『タイタニック』には程遠い、ラブロマンスの転覆に溺れてしまう。
『タイタニック』で恐らく誰もが胸を熱くさせたカーセックスシーンは、本作でも健在。
が、これが皮肉なことに不倫相手とのカーセックスなのです。これは嫌がらせにもほどがある……。
“幸せ”に終着点はない
物に溢れて、何不自由なく生活していてもどこか満ち足りない。お金に困っているわけでもなく、愛を失っているわけでもない。
生活の中で空虚を覚えるフランクと、自己を探し求めるエイプリル。より大きな幸せを求めることで、夫婦にこれほどまで溝が出来るとは……。愛し合っている、その事実だけで十分なのに。
エイプリルの幸せへの渇望が狂気に変わる様が凄まじい。
終盤の彼女は、もはやホラー! エイプリルから滴り落ちる血。フランクの真っ赤な形相。
沈むのは豪華客船ではなく、夫婦の夢。
『タイタニック』を観てもノれずにディカプリオとともにそのまま海に沈んでしまった人も、この超現実的恋愛物語にはノれるかも知れません。
そのかわり、もっと深く深―く沈みます。落ち込むってことです。
『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』 スペシャル・コレクターズ・エディション Blu-ray発売中
価格:2,980円(税込)
発売日:2010年12月10日発売(発売中)
発売元:パラマウント ジャパン