石川寛監督のスペシャルインタビュー!

 伝えられなかった淡い恋心をいだく男女を描いた、映画『好きだ、』から7年。待望の新作『ペタル ダンス』が4/20に公開される石川監督。
さまざまな苦しみや悲しみを抱えながらも懸命に生きる若い女性4人が、旅を通じて自分自身を深く見つめなおし、新たな気持ちで前に進んでいく等身大の姿を描いた監督。凛々しくも繊細な女性の仕草が光る演出には、監督ご自身の「女性観」が関係している?
幼いころから感じていた女性に対する想いや、好きな仕草などを赤裸々に語っていただきました。

ペタルダンス 石川監督 スペシャルインタビュー

―女性の仕草や言葉遊びなどが非常に細やかで、鋭く描かれていると感じたのですが、監督は、女性のご友人が多いのですか?

石川監督(以下、敬称略):小学校4年生のころ、急に女の子の友達が増えました。男からひんしゅくを買うので女の子とばかりと話していたわけではないのですが、女の子と話してると、「こんなこと感じるんだ」とか「なんて感受性が豊かなんだろう」と発見があって、いいなぁと思っていましたね。それに比べ、男は鈍いというか(笑)。

 高校からは「友達」というよりも「付き合う」人。お付き合いして、友達とはまた違う深さみたいなものを感じましたね。
高校3年生の時に、付き合っていた女の子のことがすごく好きで、よく会っていたんですけど、時々僕の方が黙ってしまい、長い沈黙をしてしまうことが結構あって…今思うと、あの沈黙はなんだったんだろう、なぜ話せなかったのかなって。

―それは、居心地の悪さはない沈黙ですか?

石川:むこうは悪いでしょうね(笑)。僕が黙っちゃって…。
あの頃の自分は、相当弱い部分を持った男だと思っていたので、話してしまうとそれが伝わってしまう気がして黙っていたのかなって…。ちょっと情けない男ですね。

―風間さん演じる川田の「言おうか言わないか」と悩んで、つい行動に出てしまう姿とかまさにそうかな、と。

石川:若いころの自分が重なっているのかもしれないですね。
冒頭はあのシーンで始まりたくて。映画の本筋とは違う、あそこだけ恋愛関係をにおわせるんですけど、直接この後の話とあまり関係がなくてもジンコが言うあの一言から始まりたくて。
彼女の言い分は、いきなり抱きしめるのはどう?ってことなんです。関係を変えたい、進めたいなら、きちんと言葉で話してからであって、いきなり抱きしめるのはどうなのってことなんです。

―女性ならではのルールというか、ここを通って欲しいものはありますよね。

石川:それは僕なりの、20代のころに女性に対して感じていたことなのか、と。
僕は勝手に感じとっていましたね、やっぱり言葉を言ってほしいんだなって。どんなに言葉じゃなく気持ちを伝えたとしても、きちんと言葉にしてほしいのかなって感じていて、それがジンコのあの一言に集約されているのかなと思っていました。

―女性の瞬時に状況を判断する、直感や感覚的な力も鋭く切り取られてました。

石川:僕が子供のころから感じていた、女性の感受性の豊かさや感覚的な部分、相手のことを瞬時に感じとって選ぶ言葉とかを引き出したくて。
男は頭で考えちゃうところがあるので、なかなかできない。
男の人は左脳的で論理的に組み立てて、そこで納得した言葉しか言わないことが多いように思います。
逆に女の人は、右脳的な、直感ですっとその時感じた言葉を言えるんじゃないでしょうか。常々その差を感じてきたので、女の人を描くのであれば、女の人の感覚的なところ、瞬時に感じとれる感受性みたいなところが全開になればいいなって思って。