年相応に生きられないおっさんたちの悲劇の堂々巡り

映画 T2 トレインスポッティング ダニー・ボイル ユアン・マクレガー ユエン・ブレムナー ジョニー・リー・ミラー ロバート・カーライル

 スマホやGoProといった小型カメラでの小回りの効く映像が取り入れられ、また撮影自体もフィルムからデジタルに進歩したことで、前作以上にスピード感溢れるテンポで突き進む。

 いくらレントンにシワが増えても、シック・ボーイの髪が後退しても、映像は一切歳を感じさせない。ダニー・ボイルが前作以降に出会った撮影監督アンソニー・ドッド・マントルによって、アカデミー賞撮影賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』や『127時間』同様、ダイナミックで発想豊かなカメラワークが堪能できる。

 チャンスがあって裏切りがある。その情け容赦ないパターンを作るのは、金とドラッグのせいだろう。特にベグビーが情けなく、やるせなく、どうしようもない。レントンに強い恨みを持ち、怒りを怒りでしか返せない友情が、泣かしの演出にかからなくともなぜか泣けてくる。
年相応に生きられず、悲劇の堂々巡りをしているおっさんたちの姿がどこか儚げで、それは当時20代だった彼らが感じている以上に刹那的な生に思えてくる。

 ある意味究極の反面教師映画だ。20年経ってもドラッグから逃れられないスパッドの絶望は、一過性の快楽に身を投じることの恐怖を覚えさせる。
前作から引き続き“人生を選べ”がテーマであるが、人生を選ぶことなく生き続けた人間がどうなるのか。あの頃のレントンとは違い、正しく人生を選ぶ人物が登場する。その行く末に、前作には描かれなかった輝かしい未来が感じられる。

 彼らの幼少期、20代、そして今。三つの軸から時代を捉え、人が生きることについて包み隠さずえぐり出す。

 それは辛い。恥ずかしい。他人に見せられるものじゃない。
 赤裸々な焦燥感は衰えることなく、無様に駆け抜けていく。

 20年先を見越せるわけがない。いつだって今の積み重ねでできている。その瞬間瞬間を相変わらずクールな音楽と映像とともに、レントンたちが生き抜いている。それだけで十分に思えるのだ。

ストーリー

 20年前、仲間を裏切って大金を持ち逃げしたレントン(ユアン・マクレガー)がスコットランド・エディンバラに帰ってくる。

 ドラッグから離れられず、家族に愛想を尽かされて絶望しているスパッド(ユエン・ブレムナー)。パブを経営しながら売春を稼業にしているシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)。殺人罪で刑務所に入っているベグビー(ロバート・カーライル)と次々と再会していく――。

4月8日(土)丸の内ピカデリーほかにてロードショー

監督:ダニー・ボイル
キャスト:ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、ロバート・カーライル 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題:T2 TRAINSPOTTING/2017年/イギリス映画/117分
URL:『T2 トレインスポッティング』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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