赤ちゃんの未知なる生命力『ベイビーズ-いのちのちから-』

 全米公開時、ドキュメンタリーとしては異例の初登場トップ10をし、ハリウッド大作を凌駕した話題作がついに日本上陸です。
監督は、2009年にNHKのドキュメンタリー番組『東京モダン』で海外プロデューサーを務めるなど、世界各国でドキュメンタリーを制作しているトマス・バルメス。シンプルな構成ながらリアリティ溢れる、世界4ヶ国のそれぞれ同じ時期に生まれた赤ちゃんを追った”赤ちゃんムービー”を完成させました。

 2009年4月、4人の赤ちゃんが誕生しました。
アメリカのハティちゃんは好奇心旺盛。人見知りしても5分で打ちとけます。アフリカのナミビアに生まれたポニジャオちゃん。牛とヤギに囲まれた家に住み、踊るのが大好き。モンゴルのバヤルジャルガルちゃんは、お兄ちゃんと遊ぶことが大好きで、牛と羊と共に暮らし、思いやりのある男の子。東京のマリちゃんは、ファッション業界で働く両親の一人娘。好奇心旺盛、食欲も旺盛。人形をずっとかわいがっています。
言葉はまだ話せないけど、いつも泣いたり怒ったり笑ったり。小さな体から、あふれんばかりに力を出して輝いている赤ちゃんたち。その魅力にカメラは迫っていく。みんな、どのように成長していくのかを――。

 本作の魅力は、思わず抱きしめたくなるような赤ちゃんのかわいさはもちろん、そのパワフルな存在感から、人間の持つ無限の可能性や生命力を感じさせてくれるところです。
 “みんなかつては赤ちゃんだった”…大人になった今、そのような視点で見つめると、世の中の見方が少し変わるかも知れません。誰もが赤ちゃんだったということは、誰もが愛に囲まれて育ってきたということ。そんな当たり前のことに気づかされるでしょう。
 彼に、最近ついついきつくあたってしまうというあなた。忙しさのあまり、少し愛が足りないのかもしれません。赤ちゃんたちのはじけるような笑顔で、愛する気持ちを補給してみるのはいかがですか?

2012年5月5日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー

原案:アラン・シャバ
監督:トマス・バルメス
キャスト:子供たち→ポンジャノ(ナミビア)、マリ(日本)、ハティ(アメリカ)、バヤンジャルガル(モンゴル)・両親→タレレルアとヒンデレ(ナミビア)、セイコとフミト(日本)、スージーとフレイザー(アメリカ)、マンダフとプレフ(モンゴル)
配給:エスパース・サロウ
提供:紀伊國屋書店/メダリオンメディア
原題:BABIES/2010年/フランス映画/79分

Text/Michihiro Takeuchi