悲しい過去と幸せな現在が反転するタイミングとは。
授業参加日、父・和彦が見守る中で末っ子・隆史が教室で「僕の家族」について発表する。リビングでは隆史のゲームに長男・淳が付き合い、高校受験を控えた長女・明日香、母・皐月がテーブルを囲む。そして手を合わせて、「いただきます!」。
( c )映画『at home』製作委員会
どこにでもあるようでどこにもないような、そんな理想の家族像。ある意味何の面白みもない、何のドラマも感じない。でも、この家族の正体が物語の進行につれて明らかにされていく。
この映画は先に答えを出す。そして、その理由を語り出す。まず幸せな家族の姿を見せてから、その一人一人の過去を描いていく。和彦がどのような経緯で家族を寄せ集めたか、そしてそれは何の目的なのか。彼の悲しい過去が描かれることにより、何の変哲もない家族が次第に色付けされ、他の家族ではありえない絆が見えてくる。
( c )映画『at home』製作委員会
やがて皐月の人質事件を境に、サスペンスとヒューマンドラマが反転。その面白さに目が釘付けになってしまいます。