本当の《わたし》なんかいない。新しい《わたし》だけがいる。
1600キロなんて過去を忘れるには十分な距離に思えるが、シェリルは結局過去から抜け出せない。
現実逃避するつもりが現実に直面し、旅のふとした瞬間に思い出が蘇る。夫と同じ柄を彫ったタトゥーで結婚生活を思い出し、突然現れた狐に「行かないで!」と叫ぶと亡き母を思い出す。
つまるところ、現実逃避なんてこの世に存在しないのかもしれない。
( c )2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.
しかし、この距離が立証するかのごとく、出口のない旅がある一つの明確な答えにたどり着く。《人生そのものが旅》である。
本当の《わたし》なんか見つからないし、もうそれでいい。ただ、そこで新しい《わたし》を見つけられるのかも知れない。
今作は、決して「私も旅に出よう」と無謀な旅を促す物語ではありません。
この先ずっと行く宛のない逃避行を続けるのなら、まずこの映画を見てあなたが何から逃げようとしているのかしっかりと向き合ってみませんか。
8月28日(金)、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
監督:ジャン=マルク・バレ
キャスト:リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン、トーマス・サドスキー、ミキール・ハースマン、ギャビー・ホフマン
配給:20世紀フォックス映画
原題:Wild/2014年/アメリカ映画/116分
( c )2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.
URL:『わたしに会うまでの1600キロ』
Text/たけうちんぐ