死ぬまでには観ておきたい映画のこと

不倫を繰り返すエロい人妻と不倫を監視する隣人…『ボヴァリー夫人とパン屋』

ノルマンディーの小さな村でパン屋を営む文学好きの中年・マルタンの隣に、彼が愛する小説『ボヴァリー夫人』と同じ名前の若妻・ボヴァリー夫人が住み始める。若い男と不倫をする彼女に、マルタンは小説さながらの物語を妄想していく——女性監督が官能的に描く、ブラックユーモアに溢れたフランス映画

 不倫愛を描いた映画は山ほどある。
しかし、本作はその数多くある作品とは全く違う。なぜなら、結婚しても満足できず、新たな愛を探すボヴァリー夫人に一抹の不安を覚え、“監視”を続ける文学好きの中年・マルタンの存在があるからだ。

 インテリ中年男の妄想と、不倫愛を続ける若妻の現実。この二つがファンタジックに交差し、なんとも黒い笑いに満ち溢れた作品になっている。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと ボヴァリー夫人とパン屋
(C) 2014 - Albertine Productions - Cine-@ - Gaumont - Cinefrance 1888 - France 2 Cinema - British Film Institute

『ココ・アヴァン・シャネル』などフランスで活躍する、アンヌ・フォンティーヌ監督が、名作『ボヴァリー夫人』をモチーフにした絵本作家ポージー・シモンズのグラフィック・ノベルを映画化。

 監督した前作『美しい絵の崩壊』では、年の離れた若い男から愛される女性の戸惑いを、女性監督ならではの感性で描いたが、本作は、中年男の完全なる一人称の視点。

 主人公を演じるのは、エリック・ロメール監督作品常連の名優、ファブリス・ルキーニ。
インテリでチャーミングな瞳のせいか、その語り口はユーモラス。彼が妄想に囚われる官能的な若妻・ボヴァリーをジェマ・アータートンが演じ、二人の対照的なキャラクターがとんでもない展開に巻き込んでいきます。

【簡単なあらすじ】

 長年勤めていた出版社を辞めて故郷の村である、フランス西部・ノルマンディーに戻り、父の遺したパン屋を継いだマルタン(ファブリス・ルキーニ)。彼は、家族とともに平穏な日々を送れると思っていた。

 しかし、彼の隣に引っ越してきたイギリス人のボヴァリー(ジェマ・アータートン)とその夫がそうはさせない。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと ボヴァリー夫人とパン屋
(C) 2014 - Albertine Productions - Cine-@ - Gaumont - Cinefrance 1888 - France 2 Cinema - British Film Institute

 マルタンが愛読するギュスターヴ・フローベールの名作『ボヴァリー夫人』の世界とボヴァリーの人生を重ねてしまい、小説と同じように若い男と不倫をする彼女がやがて自殺するのではないかと恐れ、“監視”を始める。

 だが、現実は、マルタンの妄想とはかけ離れた展開に。果たしてリアル・ボヴァリー夫人の行く末はいかにーー。