ヤッてもヤッてもまたヤリたくなる。
ビッチだろうがアバズレだろうが、彼女には罵り言葉にもならない。ただそこに男がいれば性器が反応し、気がつけば行為に及んでいる。
本能に誘われるがまま、人生をすべて“セックス”に捧げてしまっている。
セックス=愛なんて誰が決めた? 主人公・ジョーは問いかける。
愛と性衝動の関係性を今一度、確認してみましょう。
鬼才ラース・フォン・トリアー監督の最新作。この監督から過去作『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ドッグヴィル プレミアム・エディション』などどんよりとした気分にさせる映画をイメージすると思いますが、本作はその予想をひっくり返す娯楽作。「こんなに笑うとは思わなかった」と、観る人の感想が容易に想像できます。
主人公のジョーをシャルロット・ゲンズブール、彼女の過去の姿をステイシー・マーティン、彼女を介抱する紳士をステラン・スカルスガルドが演じ、『トランスフォーマー』でお馴染みのシャイア・ラブーフ、クリスチャン・スレイター、ユマ・サーマン、ウィレム・デフォーといった多彩なキャストが脇を固め、“ニンフォマニアック=色情狂”の過去と現在を毒々しく彩ります。
人生をセックスに捧げた女
【簡単なあらすじ】
雪が降り注ぐ路地にジョー(シャルロット・ゲンズブール)が倒れていた。通りすがりの独身の男・セリグマン(ステラン・スカルスガルド)は彼女を介抱し、彼の家のベッドで目覚めたジョーは自らの過去を語り始める。
2歳の頃から性に目覚めたジョーは、いつも森に連れてきて木や葉の話をしてくれる父(クリスチャン・スレイター)のことが好きだった。
15歳の頃、若者J(シャイア・ラブーフ)と初体験を果たす。その際に乱暴に3回突かれ、後ろから5回突かれた「3+5」の数字が後に忌々しい記憶として残り、その後Jと印刷会社で奇跡的に再会する。
やがてジョーは以前より多くの男性と肉体関係を持つようになり、自身のセックス依存症を自覚し始める。父が心を病んで入院し、彼の死に際でさえ体のあそこが濡れていたことに気づく。ますます性欲に溺れるようになった彼女だが、いつしか性器が麻痺してしまい、感じられない身体になってしまったーー。