ソニ流・モテ女の秘訣とは?

 男は皆、ソニに夢中。確かに何かに熱中している人は魅力的。でも、どうしてこれほど虜にさせているのか。

 ソニは「私、男なんて必要ない。私に大切なのは、自分が何者か知ること」と終始媚びることがない。
タイトルにある通り、常に『ご機嫌ななめ』。めったに笑わない。ムスッとしたソニが男にとってどこがいいのか、検証してみよう。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと シネマート新宿 ホン・サンス チョン・ユミ イ・ソンギュン キム・サンジュン チョン・ジェヨン ビターズ・エンド Our Sunhi ソニはご機嫌ななめ 四角関係 モテ女

 第一に、ソニは「放っておけない」感を出している。壁にぶち当たり、人生に悩み、一人だと解決できない。それでも一人で何者かになろうとしている様が、男たちの父性本能をくすぐる。俺が傍にいなければ、と思わせる素振りこそがモテ女の秘訣なのかも。

 一方でツンとした態度と、率直な意見を堂々と告げる性格。まるで猫のように気ままで、自然体。
狙って挑めば火傷しそうだけど、無意識に男たちを翻弄させていくのだから学べることは多いかもしれません。

映画全編に流れる独特の“間”

 ホン・サンス作品特有の“間”が、この何ともマヌケでありながら生々しい四角関係模様を鮮やかに彩っている。
基本、顔のクローズアップはない。どこのシーンも第三者の視点のように少し離れた所から男女を見守っていて、ワンシーン・ワンカットの会話の間が男女の気持ちのすれ違い、男同士の気まずさを描いている。

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 また、男たちの気持ちを代弁するように、懐メロが毎回絶妙なタイミングで流れる。その時がある種の落とし所というか、まるでお笑いでいう「天丼」のように、チェとムンスとジェハクの恋心をすり抜けていくソニのそっけない態度がたまらないのです。

 ムンスの先輩=ジェハク、ジェハクの先輩=チェ教授というある種の三世代支配から、男の単純さが浮き彫りとなる。
挙げ句の果てにはムンスの「俺は人生でお前ほどかわいい女を知らない」ってセリフをパクるジェハク。男たちが言葉巧みに“人生訓”をソニにぶつけても、教養も教訓も華麗にすり抜けられてしまう。
ソニは自分の将来が一番の興味。結局、男はどんな手段を使っても彼女に太刀打ちできないのです。